これで三竜シリーズも終わりだーと思っていたら、何やら様子が変だぞ。 | |
というか待て、例の剣が消えたとはどういうことだ!? | |
えっとー、ボクらは酒場にちゃんと預けたし、マスターもきちんと渡したって言ってるしー。 | |
……この人、嘘を付いたりする人じゃないしね。 | |
と、とにかく公宮で話を聞きましょう! |
じーさんもまったく知らないってことは、一体何がどうなってるんだ? | |
そもそも大臣の話にあった通り、余程の事が無い限りは樹海で発見したものは私たち冒険者のものになる。それに反する命を下すとは、一体何者だ。 | |
そーだねー。大臣の知らないところでボクらの見つけたものをちょっぱって行くんだから、相当な肝の座り方してるよー。 | |
大体あの剣を持っていって、それで一体何を……ああっ!! | |
何だ、いきなり? | |
ギルド長! | |
……まさか、仲間の弔い合戦に? | |
そうだとしたらマジでヤバいぞ、ギルド長がいくら強いからって一人で勝てるはずがねえ! 冒険者ギルドへ急げ! |
あの、これってつまり……。 | |
ビンゴ。畜生、戦うんなら俺たちも呼んでくれってんだ。 | |
何が「過去を断つ」だ。死んだら元も子もないだろう。 | |
その通りだ。準備はいつも通りの最低限でいいから、まずは 6F の隠し部屋だ。 |
うわ、マジであんな剣一本で竜と戦ってやがる! | |
まずい、明らかにこのままでは命が無いぞ。 | |
早く助けに入らないと! |
いや、気持ちはわかるけど無茶もいいところだ。 | |
まったく、「立場があるから率先して樹海探索を行うなどできぬ」と言っていた人物とは思えん。 | |
……何にせよ、間に合うには間に合ったようね。 | |
ところでボクらが見つけた剣、あれって…… |
え? | |
く、砕けた。 | |
おい、これは禁忌の森の封印に関連した剣ではなかったのか? | |
これって相当まずいのでは? | |
……その話は、まずはそこで猛り狂っている化け物を倒してからにしましょう。 |
さて、作戦はどうする? | |
こいつも多分エトリアの時の作戦がそのまま通じたりはしないだろうな。まずは耐熱ミストを使うのは普段どおりだけど、今回はまずは猛き戦いの舞曲を使ってみよう。 | |
耐邪の鎮魂歌じゃないんだー。 | |
奴の攻撃パターンの中に混乱と攻撃力低下を同時にかけてくる「とどろく咆哮」ってのがあったんだけど、それって攻撃力アップを毎ターンかけてると相殺できたんだよ。 | |
なるほどー。それじゃ、今回は猛き戦いの舞曲を連発することになるのかなー。 | |
……他に何かやらないといけないことは? | |
まずは奴の攻撃を見てみないことには何とも言えないな。 |
ちょっとー、話が違うよ! | |
まずい、僕とユーリさんじゃどうにもならないです! | |
ユッカの足だと絶対にテリアカβオールとか間に合わないっぽいよなー。 | |
かといって耐邪の鎮魂歌なしでは即座に次の咆哮で混乱してしまいます。 | |
これは反省会でユーロニモスを折檻するしかないなー。 |
主に同士討ちにより全滅……
さっきの無し。ノーカン。気を取り直して再戦だ。 | |
どうもある程度 HP が減るまではとどろく咆哮ばかり使ってくるようだな。 | |
……大体 HP を 30% 前後削るまではそうみたいね。 |
その後使ってくるようになるのがこの火竜の猛攻。これは攻撃力アップ技で、ブレスのダメージも跳ね上がる。 | |
これはみたら即消しだねー。 | |
前から思っていたが三竜相手ではバードは殆ど必須だな。 | |
強化打ち消しや状態異常耐性は他の職業では難しいですからね。 |
……強化無しでも致死ダメージを受けたんだけど…… | |
これはエトリアでは見なかった技だな。っていうか、これも竜乱錐と同様にランダム攻撃 + スタンらしいぞ。 | |
しかしこれでまた戦線が崩壊してしまった。残念ながら今回もダメのようだ。 |
それではいつも通り反省会及び作戦会議を始めようか。 | |
そんじゃまずは、何回かトライして集まったデータからな。 |
攻撃が壊属性だけではない上に、どれもこれも強烈です。 | |
これは私たちの防御力では厳しいものがあるが、何か対策は? | |
それよりも先に、奴の HP に関するデータも出しとくか。 |
目分量な上に HP が少ないときのデータが極めて乏しいんで間違ってるかもしれないけど、こんな感じで攻撃方法が変わってた。ただし、 HP が 60% ぐらいの時に火竜の激震を使ってきたりしたから確定じゃねえな。 | |
こうしてみると、 HP が 65% からのときのモードが一番厳しいな。ドラゴンビート連発はまず耐えきれない。 | |
極めて大雑把な計算ですけど、大体 HP が 4000 減るごとにモードが切り替わるんですよね。もしも一気に HP 8000 〜 4000 の区間を飛ばせたら…… | |
それ出来たら普通に 3 ターンキル出来ちゃうってー。 | |
……一応、ブレスの来るターンはわかってるわけよね。トラッピングでどれだけ稼げる? | |
えーと、強化 2 つ付いた状態でのトラッピングが一発で 700 程度のダメージになってたよな。そこから計算すると……あー、いけるかも。 | |
今度は一体何を思いついたんだ? | |
ちょっと俺たちの戦闘スタイルとは違うことになるかもしれないけど、理屈の上では勝てるよ。 |
ぶっちゃけ作戦は特に無い。あるとすれば、アームボンデージで攻撃力を落としてその間にダメージレースで優位に立つぐらい。 | |
大丈夫なのか? いつもよりも作戦が雑に見えるのだが。 | |
他に作戦が無いんだよ。まずこいつを倒すには即死級の全体 or ランダム回数攻撃を受けきるしか無いんだけど、それには腕封じしかないだろ。 | |
ミストの上から聖なる守護の舞曲を重ねがけすれば耐えられるかもしれないけど、それやると耐邪の鎮魂歌がかけらんなくなっちゃうよね、最終的に。 | |
……攻撃の切り替わるタイミングがまだわかりきってないからね。 | |
あ、確かに HP を 30% ぐらいまで削ると、火竜の強襲、ドラゴンビート、火竜の激震の三択ですね。 そこで耐邪の鎮魂歌がないと、一番頻度の高そうな火竜の強襲で壊滅です。 | |
そういうこと。一番壊滅の危険性があるのがドラゴンビートだからな。腕封じ + ミストでダメージを相当抑えられる。 |
腕封じ + 耐壊ミスト状態でドラゴンビートを喰らったときのダメージはこんなもん。当然、トラッピングで倍返しだ。 | |
確かにこの程度のダメージで済めば全滅の恐れはないな。 | |
都合の良いことに次のターンにブレスが来るから、そこでトラッピング2 を叩き込んで一気に終盤に持ち込もう。 | |
でもこれ、腕封じの解ける速度によっては相当厳しいことになりますよね。 | |
4 ターンめに成功したわけだから、 7 ターンめぐらいまでは大丈夫、かなー? | |
だから今回は不確定要素がいつもにも増して多いんだよな。 |
た、大変です! ユーリさんが…… | |
うわ、何でよりによってここでこいつが倒れるかな。 | |
ダメージが 500 近く出ていたからな。やはり防御力が低すぎたか。 | |
こいつはかなり計算外だ。っていうか、敗北の危機だ。 | |
ネクタルシリーズの持ち合わせは一応あるが、その後の奴の攻撃でまたやられそうだな。 | |
僕ならあいつよりも確実に後に行動できますけど……。 | |
この人数だとドラゴンビートで死ぬかスタンする可能性が洒落になってないだろ。 | |
……最悪でも次のターンのうちに蘇生させないとマズいわね。 | |
次は幸いブレスのターンだけど、その次のターンからはユーリなしじゃ火竜の猛攻がどうにもならねえ。 | |
それで、どうするつもりだ? | |
一か八か、ユッカがアイテムで蘇生させて、お前がスリープアローを打ち込んでくれ。 | |
……完全に博打じゃないか。 | |
しょうがねえだろ、こういう場合。 |
あ。 | |
……鬼のような引きね。 | |
自分で指示しといてなんだけど、ここでトップデッキできるか? | |
まあ、お前と違って日頃の行いが良いからな。それよりも次のターン、奴が目覚めなければトラッピングは撃てないぞ? | |
待て待て、トラッピング使わなくても跳弾でも相当なダメージなるだろ、睡眠補正で。 | |
ああ、確かにそうだな。 | |
……ようやく勝ちが見えてきたわね。 | |
ってか、あとはミスト張って俺とユッカで殴ってりゃ終了だ。 |
ゲームセット、と。 | |
雷竜よりもはるかに面倒な相手だったな。 | |
あっちはあっちで大変だったけどよ。 | |
……そんなことより、ギルド長は大丈夫? |
良かった、無事みたいです。 | |
まったく世話の焼ける上官だ。まあ、このぐらい情熱的な方が好感は持てるがな。 | |
……無事なのがわかったからちょっと話を戻すけど。 | |
ん? ああ、あの剣のことか。 | |
そうだ、翼人からもらった剣、あれどうすっかな。 | |
っていうかこれってギルド長の責任問題に…… |
これは……クァナーンがくれた…… |
何か剣に変化したけど、これって例の封印と何か関係あるのかな? | |
というかこいつが真の姿、なのか? | |
なんとなくそんな気がするな。 |
え……ギルド長が辞めるって、そんな。 | |
いやいやいやいや、引責辞任とかマジで勘弁してくれ。 | |
っていうかそんなことで辞めちゃダメだって! 別にボクら全然怒ってないし! | |
……完全に燃え尽きてるみたい。 | |
そりゃ、確かにこんだけ騒ぎ起こして仇討ちに挑んで、そんでもって燃え尽き症侯群ってのもわかるけど…… | |
……ギルド長、辞めるのはあなたの自由だが、私たちへの借りはきちんと返してもらえるのだろうな? |
良かったー、思い直してくれたみたい。 | |
危ない所だった。しかしカリン、よくそれでギルド長が思いとどまると思ったな。 | |
……こう見えて結構思いやりがあったりするから。 | |
いや別に、私は単に貸し借りの作りっ放しが性に合わないだけでそんなことは微塵も…… | |
もしかしてカリンさんって、そういう風に褒められるのに慣れてないんですか? | |
違うよー。これはね、ツンデレ。 | |
……もういい、帰るぞ。 | |
しかし、例の騒動の落とし前をどうつけるかが問題だな。 | |
そうだねー。いくら例の剣がボクらのものだったからって、公宮の名を騙って持ち出したわけだし…… | |
とりあえず報告してから考えないか? |
酒場にて……
旦那……あんた漢だよ。 | |
あとはボクらが口裏合わせておけばオーケーだね。 | |
これで一件落着、ですね。 | |
本当、手のかかるギルド長様だ。 | |
これで後残ってる案件は……やっべ、一個だけ完全に放置してたのがあった。 | |
あ、僕用の最強装備のクエストですね。 | |
それを片付けたら、今渡こそ 30F の探索だな。 |