すっかり忘れていた話 (〜22F)

ユーロニモス22F に入ってすぐにこんな声が聞こえてくるんだが、相変わらず寝言を抜かしてるなこのオーバーロードとかいう奴は。
カリンつまりこういうことか、奴は不死についての研究の実験体として有能な冒険者を使い、スキュレーのような化け物を作りだしていると。
ユーロニモスどーやら俺たちは単に実験体としてしか見られていないらしいな。
ユッカ酷い……
ユーリやっぱりこれは見過ごせないねー。
アリッサ……でもそうなると、オーバーロードの正体は何なのかしら? まだ不死の研究が完成していないなら、一体?
ユーロニモスそれについてはもう大体検討はついてるよ。ま、少なくとも人間じゃねえってことは確かだろうな。
カリンところでこの階もまたベルトコンベアで移動していくようだが、どこにも抜け道らしいものがない。その上徘徊している FOE がすべて赤 FOE で、しかも夜行性と来てる。
ユーロニモスおかげで夜間しか探索が進まないんだよなー。それでその赤 FOE だけど。
ユーロニモス最初のターンに力溜めをしてきて、次のターンの悪夢の晩餐が見ての通りの威力だ。こっちの体力の上限がいくつだと思ってるんだこの野郎。
カリン耐壊ミストなどで守りを固め、敵の強化を打ち消し、それから頭や腕を封じることでどうにかなった。それでも厳しい戦いには違いないが、倒しておくと夜間でなくとも探索を出来るようになるからな。資金や交易所の消費アイテムのストックに余裕があるなら、倒して行ってもいいかもしれない。
ユーリそれでもちょっとこっちの受ける被害が尋常じゃないよねー。ボクらは最初の一匹を倒した時点で時間とお金の無駄だと思って、おとなしく夜間だけの探索をすることにしたよ。
アリッサ……それが普通よね。
ユーロニモス赤 FOE も脅威だけど、雑魚もわりかし厄介だぞ。
ユーロニモスブラックウィングは例によって回避率が高くて、全体攻撃も仕掛けてくる。氷属性で条件ドロップだけど、こいつの場合通常ドロップの方が手に入れにくかったな。右のノヅチは全体に対して三個所封じを仕掛けてくるので、即殺が基本だ。
ユーリっていうか全体的にアイテムのドロップ率がしょっぱいよねー、前の階層あたりから。
アリッサ……LUC 50 オーバーが二人いてこれは厳しいね。
カリンLUC 低めのパーティで組んでいるギルドは相当苦労していそうだな。
ユーロニモスところでこの階、どうにも到達不能の場所があるぞ。とりあえず現時点でのマップを以下に置いとく。
ユーロニモスどうも両サイドに1ヶ所ずつ、別のフロアがあるようだ。こりゃあきっと上の階から降りてくるんだろうな。
ユーリ北西の部屋の壁に変な仕掛けがあったからそれを作動させてみたけど、それでも道が開けたりはしなかったからねー。
カリンそういえばこの階にも 21F と同様に、謎のメッセージがあったぞ。場所は B-3 区画の南東だった。
カリンもっとも私にはさっぱり意味がわからないのだが。
ユーリボクにもわかんないよー。
ユーロニモス……やっぱそうだったか。
ユッカ?
ユーロニモスいや、そろそろエトリアであったことを話す頃合いかな、ってね。というかスマン、すっかりこのことを話すの忘れてた。
カリンということは、エトリアのことがこの謎のメッセージに繋がるということなのか?
ユーロニモスそういうこった。で、何から話せば良いかなんだが……まずは核心から話そう、俺たち人類は一度滅んでいる。厳密には、俺たちの祖先は一度とてつもない文明を築き上げ、それから滅び、その生き残りが復活を試みた結果が俺達だ。
ユーリ……プッ(笑) 「人類はもうすぐ滅びる」じゃなくて、「既に滅んだことがある」って (笑)
カリンあまりにも突飛過ぎて受け入れ難いのだが。
ユーロニモスじゃあ、この建造物は何だ? 俺たちの歴史上、こんなものを作るテクノロジーは存在しなかった。そして俺はエトリアの迷宮の奥底で、確かにその旧人類の最後の男と戦って来たんだ。
ユッカえ、今、何て言いました? その生き残りと戦って来って……
ユーロニモス実はエトリアでは執政院−−ハイ・ラガードでの公宮にあたる機関−−の長がその旧人類の生き残りで、迷宮は世界を蘇らせるための装置のような役割をしていたんだ。そして冒険者がある程度以上の深度に達すると、そいつが俺たちとは別の種族をけしかけたり、執政院お抱えの凄腕の冒険者を送り込んで冒険者を始末していた。
アリッサ……最初の頃、公宮の人間や他のギルドを警戒していた理由がわかったわ。
ユッカで、でもそうだとしたら、執政院の人達ってこの世界を復活させようとしていたんじゃないですか!? 戦う理由なんてないんじゃ……
ユーロニモス俺も最初はそう思っていたし、執政院の長を倒した後しばらく、自分がやったことを疑問に思っていたよ。ちんけなプライドでとんでもないことをしでかしたんじゃなかったかって。ところが、話はそれで終わりじゃない。エトリアの世界樹にはさらに奥の階層があって、そこはとても世界を再生させる装置なんてもんじゃなかった。地獄絵図だった。結局俺はその深奥までたどり着いて、世界樹のコアの化け物を叩き殺してきた。
カリンだが、それも結局のところは真相が明らかになったわけではないのだろう?
ユーロニモス……その通りさ。執政院の長も、今にして思えば世界樹の意志に操られていたようにも思えるし、本当に危険な暴走した世界樹の中核を封印していたようにも思える。だから俺は真相がどうだったのかを知るために、他の世界樹を探し、この地にたどり着いたってわけさ。
ユーリじゃあさー、このハイ・ラガードの迷宮もエトリア同様に人類復活のための装置?
ユーロニモスいや、エトリアとはだいぶ異なるようだ。メッセージから判断すると、この建造物の乗員たちはこの地球を捨てて別の星に移住を試み、その環境には適応できないことがわかり、絶滅を防ぐために生体実験を試み、そのうちの一人が自らの肉体を機械化してどうにか生き延びてる……ってところだな。
ユーリうわー、さっぱりわからない。
アリッサ……その人たちはエトリアの世界樹にも関わっていたのかな?
ユーロニモスわからん。とにかくオーバーロードの野郎には聞き出さないといけないことが山のようにある。

Created: 2008-04-13