| もっとも私にはさっぱり意味がわからないのだが。 |
| ボクにもわかんないよー。 |
| ……やっぱそうだったか。 |
| ? |
| いや、そろそろエトリアであったことを話す頃合いかな、ってね。というかスマン、すっかりこのことを話すの忘れてた。 |
| ということは、エトリアのことがこの謎のメッセージに繋がるということなのか? |
| そういうこった。で、何から話せば良いかなんだが……まずは核心から話そう、俺たち人類は一度滅んでいる。厳密には、俺たちの祖先は一度とてつもない文明を築き上げ、それから滅び、その生き残りが復活を試みた結果が俺達だ。 |
| ……プッ(笑) 「人類はもうすぐ滅びる」じゃなくて、「既に滅んだことがある」って (笑) |
| あまりにも突飛過ぎて受け入れ難いのだが。 |
| じゃあ、この建造物は何だ? 俺たちの歴史上、こんなものを作るテクノロジーは存在しなかった。そして俺はエトリアの迷宮の奥底で、確かにその旧人類の最後の男と戦って来たんだ。 |
| え、今、何て言いました? その生き残りと戦って来って…… |
| 実はエトリアでは執政院−−ハイ・ラガードでの公宮にあたる機関−−の長がその旧人類の生き残りで、迷宮は世界を蘇らせるための装置のような役割をしていたんだ。そして冒険者がある程度以上の深度に達すると、そいつが俺たちとは別の種族をけしかけたり、執政院お抱えの凄腕の冒険者を送り込んで冒険者を始末していた。 |
| ……最初の頃、公宮の人間や他のギルドを警戒していた理由がわかったわ。 |
| で、でもそうだとしたら、執政院の人達ってこの世界を復活させようとしていたんじゃないですか!? 戦う理由なんてないんじゃ…… |
| 俺も最初はそう思っていたし、執政院の長を倒した後しばらく、自分がやったことを疑問に思っていたよ。ちんけなプライドでとんでもないことをしでかしたんじゃなかったかって。ところが、話はそれで終わりじゃない。エトリアの世界樹にはさらに奥の階層があって、そこはとても世界を再生させる装置なんてもんじゃなかった。地獄絵図だった。結局俺はその深奥までたどり着いて、世界樹のコアの化け物を叩き殺してきた。 |
| だが、それも結局のところは真相が明らかになったわけではないのだろう? |
| ……その通りさ。執政院の長も、今にして思えば世界樹の意志に操られていたようにも思えるし、本当に危険な暴走した世界樹の中核を封印していたようにも思える。だから俺は真相がどうだったのかを知るために、他の世界樹を探し、この地にたどり着いたってわけさ。 |
| じゃあさー、このハイ・ラガードの迷宮もエトリア同様に人類復活のための装置? |
| いや、エトリアとはだいぶ異なるようだ。メッセージから判断すると、この建造物の乗員たちはこの地球を捨てて別の星に移住を試み、その環境には適応できないことがわかり、絶滅を防ぐために生体実験を試み、そのうちの一人が自らの肉体を機械化してどうにか生き延びてる……ってところだな。 |
| うわー、さっぱりわからない。 |
| ……その人たちはエトリアの世界樹にも関わっていたのかな? |
| わからん。とにかくオーバーロードの野郎には聞き出さないといけないことが山のようにある。 |