Diary?::2007-02-17

(21:42) 真の意味でのメロディックデスメタルは Deicide の "The Stench Of Redemption" という気がしてならないな

アメリカ進出前の In Flames とか、ヴォーカルがデスなだけで普通に正統派メタルって感じだしなあ。もうね、全然バギバギにメタル。ヴォーカルにしても、デス系にしては全然聴きやすいし。それいったら Children Of Bodom とかもデスじゃなくなるんだけど、いや実際どこがデスメタルなのって感じだし。

というわけで "The Stench Of Redemption" (昔からそうだけど、今回も凄いタイトルだなコレ) は完全にメロディックデスメタルなので、 Morbid Angel とかの真性デスメタルが苦手な人にもいけると思う。しっかし、前任のギタリスト二人のせいで今までメロディアスなソロパートがスポイルされてたってのは凄い話だなおい。後任の Ralph Santolla は前任者の師匠だったらしいのだけど、師匠の考えたフレーズを弟子は弾けなかったというのがなんとも。そしてもう一人の後任が元 Cannibal Corpse の Jack Owen ってのも凄い話 (ちなみに Cannibal Corpse はちとコア過ぎて付いていけんかった)。

ちなみに真性のデスメタルファンでは無い俺が Deicide を支持する理由のかなりの部分は、リーダーである Glen Benton 先生の書く歌詞にあったりする。歌詞の格好よさでは Slayer と互角かそれ以上、とにかく徹底したアンチキリストというか反宗教の世界観は圧倒的。なにせイエス・キリストに対して「十字架に吊るされる以外に何をした?」とか言っちゃうもんなあ。そういや「キリスト教徒を殺せ」とかいうお笑い一歩手前の歌詞も書いてたなこの人 (いや、 Glen Benton 先生が歌うと洒落になってないんだけど。そういう意味じゃ、真のブラックメタルでもあるかも)。一般にはサタニストとして知られてるかもしれないけど、それは多分キリスト教への嫌がらせとして悪魔崇拝を持ち出してるだけでしょう。実際問題、サタニズムはキリスト教の闇の部分というか、「悪魔がいなければ神は信仰されない = 宗教は悪を生み出している」という考え方っぽいし (証拠無し、俺がそう思っただけ)。これはかなり納得できる考え方で、要するに地獄だの悪魔だのを作り上げて、それに対する救済としての信仰を植え付けているわけだ。そしてこれは多くの宗教団体がやっていることと合致する。

ところで先生には「イエスの野郎は 32 で死んだから、俺は 33 で死んでやる」とかいう発言をした過去があるのだけど、それについては後悔してるというか反省しているというか、まあ酔った勢いでやっちゃったってことらしい。あと Ralph Santolla って実は敬虔なクリスチャンで、実際のところ Deicide の歌詞やアートワークにはそこまで共感していないらしい (ってか反対してる?)。って、なんつーメンバーを加入させたんだ先生! 何気にお茶目でユーモラスな先生に萌え萌えだ (一体俺は何を書いているんだ)。

というわけで (どういうわけだ) "Homeage For Satan" の PV が強烈に面白いので皆さん見ましょう。ゾンビと神父がおいかけっこ (何気に神父の足が速い) という歌詞の内容を完全に無視したこの PV にゴーサインを出したであろう先生はもう少し自重した方がいいと思います (絶対にこの人は面白さ優先でやってると思う)。

(追記) そーいや Deicide ってイギリスだかどこかの動物愛護団体 (反動物実験の団体だったかな) から「英国に足を踏み入れたら殺す」とか脅迫されたことがあるんだけど、それを知った俺は笑いが止まらなかった。おいおい、動物を医学の目的に使うのはダメでミュージシャンを殺すのはオッケーなのかよ。まあその時は亊無きを得たらしいんだけど、後日スウェーデンでのライブ会場がおそらく原理主義的なキリスト教徒によって爆破されたらしい。本当、難儀な人生を送ってるなこの人は。

(22:18) ここの読者の多分 99% にとってはどーでもいい話だけど、実はサタニズムというのは本来は殺人とかとは無縁の代物

じゃあ何なのかというと、実のところ他人に依存せずに自己解決を徹底し、より自分を高めていこうというのが確かサタニズムの本来の意図するところだったはずだ。つまり悪魔崇拝の悪魔というのは自分自身の精神そのものであり、自分の生き方に誇りを持つということだったらしいのだけど、何かいろいろあってサタニズムと血生臭いイメージが結び付いてしまったらしい (動物を生贄に捧げたりとか)。確かにサタニズムでは死の概念が非常に重要なのだけど、それは死を常に意識することで一瞬一瞬を悔いなく生きようというのが元々の意図なんだと。そして悪魔が単なる比喩であることから予想される通り、サタニズムの提唱者は無神論者だった。

そーゆー意味じゃあ俺はサタニストに他ならないのだけど、入国時に信仰している宗教を書かされる国に行ったときに "Satanism" とか書いたらぶっ殺されるかなあ。

(追記) よくよく考えりゃあキリスト教もイスラム教も仏教もいろいろ宗派が分かれて喧嘩してるわけで、サタニズムにもいろいろあるのは当り前だよな。いや、サタニズムは明らかに宗教ではないというか反宗教的な考えなのだけど、悪魔という言葉を使った時点で宗教としてとらえる連中が出てくることは目に見えてるよなあ。

Written by Kuwata Chikara
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