Diary?::2006-12-31

10:35

学習コストというものについて。自分が自然に使えているからといって、他の人がノーコストで使えることは保証されない。例えば俺はプログラミングを学ぶ上でポインタ (とそれに類するもの) も再帰関数も概念自体はすんなり理解出来たが、それは多分ポインタに付いてはコンピュータアーキテクチャの知識と関連付けてメモリアドレスを意識できたからだと思うし、再帰関数に至っては高校数学でやった数列の知識が大きな助けになったはず。何かをコストをかけずに使えるということは、つまりそれに関連する知識を持っていてそれを使えているということだろう。

結局のところほとんどのものには学習コストが潜在的にかかっていて (例えばこの文章を読むには日本語を使えるようになっている必要があり、そこにはコストがかかっている)、きっとそれに自分でも気がつかないだけだろう。世の中に簡単なことなんか滅多にないのだから、必要以上に物事を簡単に思わせようとする連中は殆んど例外なく詐欺師 (自覚してるものもいれば無自覚なものもいる) だから気を付けろって事だ。「水からの伝言」の人とかね。そして物事を必要以上に難しく思わせようとする連中は単なるせんずり野郎だ。

そしてソフトウェアの世界は詐欺師とせんずり野郎ばかりでいやになる。

11:23

この時期になるとエロ系の spam のラッシュがくるなー。いい加減みんなこういうのに反応するの止めようぜと思うわけだけど、確かこの手の spam って統計上誤差の範囲にはいるようなヒット率でも収益がでるんだっけ? そりゃあなくならんよ。

21:22

アンジェロ先生のソロアルバムをようやく手に入れたぞ。買ったのは 1st の "No Boundaries" と最新の "Hands Without Shadows (無影手)"。今から聴くので、出来るだけリアルタイムに感想を書く。

まずは "No Boundaries" から。あ、当然全部インスト作品ね。

#1 Intro: This CD is Dedicated To You
ひたすら高速スウィープアルペジオの続く二分足らずの小曲。ていうかこのタイトルが先生らしいなー。この思わず笑ってしまうような真直さが先生の魅力。
#2 Rain Forest
前々から YouTube や Young Guitar の DVD で見ていて、その頃から大好きだった曲。 Young Guitar とかの奴とはアレンジが違うけど、どっちのアレンジでもメロディの美しさは損なわれていないので安心だ。メインテーマのメロディが本当に胸を打つなあ。
#3 Science Fiction
これまた哀愁味のある曲。途中で数回展開を大きく変えてくるのだけど、それがどう考えても先生のテクニックや素養の広さから逆算した本末転倒状態でファンとしてはとても嬉しい。いや、曲として破綻してるわけじゃないっすよ。
#4 Peace
先生、あんたバラード書けるんじゃねえかよ! これはもうあれだね、どこかから小賢しいプロデューサー呼んできて、そこそこ歌えるシンガー連れてきて、ベタな PV 作ってシングル出すしかないね。いや、それをやんないからこそのアンジェロ先生なんだけど。それはともかく、このお約束としか言いようのない、夕暮れを背に男泣き的なわかっちゃいるんだけど心を掴まれるメロディは大変好み。
#5 I Do For You
実に正しくヘヴィメタルな曲。こういうのを聴いて喜ぶあたり、自分はやっぱメタル者なんだなと改めて認識。曲の整合性も何かも放り出す一歩手前の鬼弾きは先生の真骨頂。
#6 The Jam Game
その名前だけあってごった煮なのだけど、耳を引くパートが散りばめられてるので退屈せずに聴き通せる。ちょうどよく雰囲気を転換できてるかな。
#7 2X Again
またもや哀愁ナンバー! こういうベタなメロディも実力のある人が弾くと違うよなー (Fair Warning もそうか。あれもベタな曲を歌唱/演奏力で数段レベルアップさせてたもんな)。
#8 No Boundaries
先生の名を世界に轟かせたハイテクナンバー。流石にアンジェロラッシュはアルバムではやってません。先生はアルバムでは聴かせるプレイを、ライブなどでは見せるプレイを心がけているようだ。これはプロとして完全に正しい職業倫理。
#9 The Finish Line
カントリー + メタルなノリノリナンバー。曲の長さからすると粋なお遊びってところかな? これはこれで好きだ。
#10 Outsideinside
前曲の流れを引き継いで、お洒落でお祭りっぽい雰囲気の中で先生が弾きまくってアルバム終了。

総評: ギタリストじゃなくても買っとけ。インスト作品として割とお薦め。

買うまではねえ、俺みたいなボンクラ専用の作品だと思ってたのよ。そしたらまあ、基本的に聴き易い曲や大人しめの曲で構成されてるんだから驚きだ。いやはや、先生は単なるギターキチガイではなくて、ちゃんとした曲も書けるし楽曲優先でものを考えることも出来る音楽キチガイだと認識を改められたな (どっちにしろキチガイだけど。普通、こんな速く弾いたら音の粒が揃わねえよ。リズムが安定しねえよ)。

23:12

先生のアルバム聴いたら変な電波を受けてギターの練習を始めちゃったんだけど、もうね、練習する前に聴くアルバムじゃないね。劣等感に押し潰されそうになるから。努力の絶対量の足りない凡人が努力に努力を重ねる天才に追い付くのは物理的に不可能だって。というわけで "Hands Without Shadows" 行ってみようか。ちなみにこのアルバムは先生のオリジナルは #4 と #7 のたったの二曲で、残りはカバー。

#1 Burn
Deep Purple のカバー。つっても俺は実は原曲知らないっす。しかし元々歌入りの曲のインストアレンジなのにちゃんとした曲として聴けるのは、原曲がそれだけ普遍的な魅力を持っていたって事なのかな。確かにこのメインリフの格好よさは尋常じゃない。そしてその上に被さるのは先生の超絶ギター。思わず「先生、何するんですかかあああああああ!?」と突っ込みたくなるようなスピードプレイに大満足。
#2 Tribute To Randy
"Blizzard Of Ozz" より "Crazy Train" と "Mr. Crowley" のパートを持ってきてアレンジして先生の超絶テクで彩りを加えた一曲。元ネタ知ってるから思わずにやけてしまう。 "Crazy Train" のサビのメロディが入ってくると思わずそれだけで大喜び。
#3 Zeppelin Forever
直球ストレートのタイトルだなおい。内容はツェッペリンの曲をいろいろ切り貼りしてアレンジという、まあ 2 曲目みたいな感じだ。俺はツェッペリンにはそこまで詳しくないけど、原曲の良さもあるのか結構楽しめたかな。
#4 Hands Without Shadows
誰だ、 CDDB に曲名間違えて登録したバカチンは! (ってか、アルバムタイトルからして間違ってるよ) なんて事はおいといて、先生の鬼のようなプレイの堪能できるミッドテンポのメタルチューン。そんなことより Wikipedia の先生の項目に「アンジェロラッシュで死人が出たのでアメリカの一部の州では禁止されている」なんて書いたボンクラは出てきなさい。
#5 Wherever I May Roam
Metallica のカバーっすね。実は俺はこの曲嫌いだったんだけど、あれ、案外聴けるぞ? もしかしてあの歌メロとジェイムズの声の組合せが嫌いだったのかな? それでもあんま好きじゃないけど (一応、印象は良くなってる)。
#6 Dream On
すんません、エアロは全くわかんねっす。でもこういうバラードチックな曲は先生の上手さが映えると思うので、原曲とかそういうのとは別次元で大歓迎。
#7 Pray On, Prey
フュージョンちっくというかゲーム音楽チックというか、そんな雰囲気のシンセから始まる、世界の広がりを感じさせる曲。先生、こっち方面でもいけるじゃん。間違っても真性メタルじゃないけど、俺はこういう音楽も好きなので全然 OK。
#8 All Along The Watchtower
ボブ・ディランは完全に射程外で、ジミヘンもそこまで詳しくねっす。いやまあ、結構楽しめるけどね。

総評: 先生のファンならいっとけ。

ところでカバーアルバムは今回限りで、次回からはオリジナルを作るそうな。いやー、楽しみだなあ。いつになるか全然わかんねーけど。

Written by Kuwata Chikara
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