読み終わったので早速感想を。
まず驚いたのは、無惨な内容にも関わらず読後感は悪くないということ。もっといやな話を覚悟していたけれど、収録されている話は全体的に俺の好きな後腐れの無い悲劇という奴。これがどういうものかというと、一通りの因果関係に作中でケリが付いて、これで終わったという感触の強いもの。全十一試合と後日談含めてさらなる無惨を強烈に予感させる話は無く、完成された惨劇というのが的確な形容だろう。
そして全体的に女でバカをやった男の破滅というのが多いのも印象深い。やっぱりいつの世も色恋沙汰に狂って破滅するというのは絵になるものなのかな。ところで思うんだけど、南條先生は女心のわからない男はバカとか思っていたのだろうか? いや、全体的な印象としてそういう男が惨劇のきっかけを作っているので。
特にお気に入りのエピソードは、少年時代の亀裂が段々深くなっていって取り返しがつかなくなる「相打つ『獅子反敵』」と作中屈指の悲劇の「峰打ち不殺」、そして最高にとち狂った「被虐の受け太刀」。「相打つ〜」は青春物としても読めそうでその意味でも驚いた。
これはかなり気に入った。大まかな内容は「突然現れた謎の人物と少年の出会い」という奴なのだけど、話の持っていく方向がかなり好み。未来屋・猫柳が風太に与える影響というのが、何故 / どうしての論理的思考というのがたまらない。こういう知性とか科学に対して誠実になろうという作品は、少なくとも俺の中では低い評価になるわけが無い。かなり期待してます。
以下、箇条書きにて。
1 巻に続いて詰め込み過ぎとか説明的とかの欠点を持っているのだけど、やはりヒロインの鈴が問題だよ。身も蓋もないことを書かせてもらえば、あんたこの作品に必要? という感じ。主人公の衣杏の想い人というだけでは、由貴漫画のヒロインとしては弱いんじゃなかろうか。
例えば「天使禁猟区」では基本的には沙羅が刹那の戦うモチベーションになっていて、さらには話が進むにつれてそれだけの存在ではなくなるというギミックがあった。長くなるので割愛するけど、沙羅がいなくては成立しそうもない話だったんだよな。
じゃあ「妖精標本」はどうなのかというと、衣杏にはヒロイン云々を抜きに戦う理由があるわけで、別に鈴がいなくても話は回りそうな気がする。なんというか、作品のテーマ的な部分で必要性が感じられないんだよな。主人公の最大の行動動機というわけでもなし、主人公に救いを与える (これは「伯爵カイン」のパターン) というわけでもなし。そこら辺が読んでいてもどかしい。
ただまあ由貴先生の作品というのは、完結して初めてその完成度を目の当りにできる作品だと思うので、最後までつき合うつもりだけど。何より楽しめないわけじゃないしね。次かその次の巻あたりで完結しそうな様子だし、出来ればコンパクトにまとまった佳作ぐらいの評価が出来るといいのだけど。
あと物凄く期待してた腰の座ったキチガイや後戻りのできない変態に関しては、もろに肩透かしを食らった気分。約一名明らかに狂っているのが潜んでいるけど、それだけじゃ喰い足りないというか。
ホッピーを飲んでみたけど、不味いってこれ。二度と飲まない。
Ruby って関数定義のネストが出来ないのね。
def function(arg)
def function2(args2)
...
end
return function2
end
みたいなことは出来ないと。そもそもの話、関数はファーストクラスの扱いでは無いので上記のコードは大間違いなんだけど。あとクラス定義の中でメソッドを入れ子にすると、外側のメソッドが実行されたあとに内側のメソッドに外部からアクセスできるのもかなり違和感。
というか俺の脳味噌が Python に慣れすぎているだけか。