依頼が……入ってる? | |
やべえ、第6階層の探索に必死になってたから、クエストの事を忘れちまってた。 | |
とりあえずこの2つ以外に依頼はないみたいだけどよ、どっちもデカそうってかヤバそうなヤマだぜ。 | |
と、とりあえず受けておきましょう。まずはエルヴァルからの依頼ね。 | |
あの魔物討伐やアイテム採集の大会を開いた暇人か。後回しでいいだろ、こいつは。 | |
それがどうも事情が違うらしいの、今回は。 |
ふんふん、その友人が終ぞ倒せなかったモンスター討伐のために、私財を投げ打って冒険者を集めてたと。 | |
そんな事情があったのね。亡くなった友人の遺志を果たそうだなんて、何だか泣かせる話だわ。 | |
ところが、そのために開いてた大会のネタっぷりのせいで今度は信じてもらねえときた。因果だねぇ。 | |
ってお前ら気がつけよ、クラーケンの居場所が海底神殿だっつってるだろ? | |
それがどうかしたのかよ? | |
……海底神殿に行き来してたってことは、大異変前の話の可能性が高いだろうが! | |
あ、確かに。少なくとも、深都がちょっと前までみたいに完全封鎖する前の話でしょうね。 | |
おい待てよ、じゃああのエルヴァルの野郎も下手すりゃ大異変の当事者じゃねえか。 | |
何者なんだあの野郎……まあいい、俺たちの仕事にゃ関係ないか。 | |
その御友人は海底神殿にクラーケンを封じ込めたって話だけど、心当たりある? | |
いや、さっぱりだ。場所はB13Fだろ、虱潰しに探すしかなさそうだ。 |
さんざん探してFOEまではっ倒して、ようやく見つけた。 | |
で、このスイッチって一体何なの? | |
俺のカンは極めてヤバい代物だって告げてるんだが。 | |
クラーケンを封じてる檻の制御スイッチか何かだろ。こいつを押せば…… |
さあもう手を引けなくなったな。 | |
そういやクラーケンっていやあ、海の男の間じゃ伝説になってる化け物なんだよな。 | |
へー、そうなんだ。 | |
とは言っても、実際に姿を見た奴は聞いたことがねえ。巨大なイカとかタコとか言われてんだがよ。 |
……ギリギリでイカか? | |
うーん、すごく微妙なライン。 |
んなこと言ってる場合かよ、いきなりこのスクィードプレスで半壊状態だぜ? | |
というかこれはまだマシな方な技で、他の技は使われると確実に全滅! | |
とりあえず確認できたのはこの三つだ。 |
追加効果は特に無さそうだったな。 | |
でもスクィードプレス以外は全滅確定だから、対策を立てないと。 | |
ってか今のところ、3ターン以上生存できた試しがねえんだが。 | |
いつもみたいにプログが分身して避けまくればいいんじゃない? | |
仮にそうするとして、どうやって分身を出すまでの時間を稼ぐかが問題だが……。 |
こいつ、封じ耐性が弱いっぽいんだよな。レベル3の影縫でも決まることがある。 | |
そういや、ハンギングが不自然なほど決まりやすいな。 | |
さらにどうも脚技しかないらしく、通常攻撃もない。 | |
え、それじゃひたすら脚封じで完封コース? | |
だったら話は早いぜ。分身してりゃ脚封じの成功率も高いだろうしな。 | |
しかしどうにも話が旨すぎるな。 | |
でもそれがビンゴだったらかなりおいしいし、やってみるしかないでしょ。 |
……ダメだったか。 | |
どうも4回までは確実に封じられたが、5回めは無理だった。流石に耐性ができるのか。 | |
ところで今、雲隠はちゃんとしてたわよね? | |
ああ。ってかタイダルウェイブとデステンタクルはかなりの高命中率技らしい。 | |
それじゃ今回は、回避特化構成は無理って事? | |
となると、三竜相手の時みたいな猿飛+招鳥か? | |
いや、今回はちょっと無理かもしれない。まずいつタイダルウェイブが飛んでくるかわからないだろ。 | |
あ、毎ターン必ず氷の先見術かフリーズガードが必要じゃない。 | |
誰がその役になるにしても、TPが切れちまいそうだなあ。 | |
つまり、これまでとは別の対策を立てる必要があるわけね。 | |
んー、流石に厄介だぜ、こいつは。 | |
いや、そうでもない。アルルーナや三竜みたいに搦め手が無い分状況は単純だ。 | |
うん、確かに攻撃を正面から耐えきれれば問題ないもの。 | |
今回は予防の号令だのリセットウェポンだのが要らなそうだからなー。単純っちゃ単純か。 | |
そしてだからこそ成立するであろう作戦がある。 |
煙りの末をマスターすれば、ダークエーテルがTP1で撃てる。そいつを利用するわけだ。 | |
「使用した列の消費TPを0にする」って、何これ? | |
これで確実にお前ら二人はTP消費なしでスキルが使えるようになるぞ。 | |
しかも分身すれば前後に撃てるというわけか。すげえなおい。 | |
先見術とはどっちが先に発動するか運だが、五分五分で消費0で撃てるなら悪くない。 それに一方は確実にダークエーテル自体をTP0で撃てるからな。 |
あたしは完全に号令係ね。 | |
防御の号令+圧壊の護符で、俺が前列に出てもスクィードプレスに耐えられるようになる。 | |
回復手段は庇護の号令だけど、これって練気の法が乗るのよね。 | |
ってかどうもTEC依存っぽいんだよこれ。むしろモンクのためにあるようなスキルだ。 |
イーグルアイ→チャージ→ミリオンスラスト2発という流れと理解したけど、いいのかそれで? | |
ああ、それで間違いない。ってか今回はほぼ完全にルーチンワークだ。 | |
脚封じを開幕で一発入れて、そこから分身を出すのは確定でしょ。 | |
その後は防御の号令を前列、庇護の号令を両方の列に掛けて、それを二回繰り返す。 | |
二回繰り返すの? | |
庇護の号令は効果の切れるターンには発動しないからな、ちょっと余分にかけて切れることを防ぐ。 その後は前列に攻撃の号令→防御の号令→庇護の号令を両列のループで安定。 | |
俺はさっきの通りのループか。って俺とシェイリンのループ周期が一致してるなこれ。 | |
だからあんたは攻撃の号令に合わせてイーグルアイを撃てばいいんだ。 | |
あとはチャージに防御の号令、ミリオンスラストに庇護の号令を合わせると。 | |
ループの最後で攻撃の号令が切れるから、また最初に戻るわけだ。 | |
本当に完全にループしてんなー。 | |
事実上、臨機応変に行動を変える必要があるのはフリーになってる分身一体だけだ。 このやり方なら、判断ミスや操作ミスのリスクは限りなくゼロになる。 |
というわけで実戦投入したが、笑えるぐらい計算どおりだ。 | |
脆いあんたでも180程度のダメージで済んでるから、余裕で回復が間に合うわ。 | |
攻撃の方はイーグルアイ+攻撃の号令+チャージ+ミリオンスラストで1100程度のダメージだぜ。 | |
ミリオンスラストは攻撃回数がバラけるから、きっちり計算できないのがアレっちゃそうだ。 | |
それでも全然悪くない数字じゃない。今回は割と楽ね。 | |
まあそうなんだけど、しかし妙だな。芸がなさ過ぎないかこいつ? | |
んー、確かにHPが半分減っても行動に変化がねえからな。 | |
となると、追い詰めたときに何をしてくるかだが……。 |
……やられた。 | |
ちょっとこれ何のコラ? 15000回復とか聞いてないわ。 | |
瀕死になると回復しやがるのか。 | |
えーこれどうやって防ぐの? | |
多分どっか封じて防ぐんだろうなー。 | |
十中八九脚技だろこれ。耐性ができたあとで大回復ってのが狙いだろう。 | |
それじゃ、序盤にあんまり脚封じしなければいいわけね。 | |
今回はそこをミスった。が、この手のネタ殺しは一回しか引っかからないさ。 |
ラストはダークエーテルを捨ててラッシュを掛けて終了。 | |
終わってみると、アルルーナの方がよっぽどヤバかったわ。 | |
とはいえ、編成によっては相当面倒だろうな。シノビとモンクを擁する俺たちだから楽勝だっただけだ。 | |
おーい、パイレーツである俺の存在を忘れてないか? | |
……いやぶっちゃけ今回は物理アタッカーなら割と誰でも良かったっていうかな。 | |
えーと、その、イーグルアイとチャージのおかげでパターンが作りやすかったとか。 | |
あとは……ウォリアーよりは命中率が多分良かっただろうとか。 | |
……とりあえずそういう事にしとくぜ。 |
はぁ!? | |
依頼人が亡くなったって、そんな状態だったの? | |
依頼人の年齢を考えっと不思議な話じゃねえかもしれねえが……。 |
うん、あたしもそう思いたいわ。 | |
何にせよこれで依頼は果たしたし、奴さんが嘘言ってたわけじゃねえってことも証明されたな。 | |
でも結果的に二人の弔い合戦というか、供養みたいなものになちゃったわね。 | |
んな事いったら、今の俺たちのやってる事自体がそんなもんだろ。 | |
……そうね。 | |
残ってる依頼を片付けたら、バカな王様とバカなガキの供養の続きだ。 |