もう多分これ以上の階層はねえだろう。ここが最終決戦の地になるはずだ。 | |
連中の親玉がこのフロアのどこかに…… |
……いた。 | |
おいおい、あっさり見つけちまったぜ。 | |
いやこれは明らさまに罠だろ。 | |
うーん、確かにこうも堂々と構えられると、何かカラクリがあると思った方がいいわね。 | |
なーに、何かトリックがあったって、こっちにゃペテンの天才が居るからなあ? | |
おいそれ全然褒められた気分にならねえぞ。 | |
確かにこれまでの戦いの半分以上は、なんていうか頓智みたいなものだった気もするわね。 | |
ったく、好き放題言いやがって。まあ、ひとまず野郎の出方を伺うか。 |
……まあ、ここまでは予想はしてた。 | |
いきなりマグマオーシャンとかいう技で全滅したぜ。 | |
何これ、どう考えても耐えられないじゃない。 | |
となると、耐性装備か3属性ガードか、はたまた先見術かねえ。 |
試しに火耐性の装備で挑んでみたけど、氷属性の技もあったな。 | |
これはガードか先見術が必須ね。 | |
あとはこいつの攻撃パターンが固定なら、割と何とかなるんじゃね? | |
いや何ともならねえだろ。何発か攻撃を入れてみたけど、カスみたいなダメージだった。 | |
そういえば、二人の攻撃が全然効いてなかったみたい。 | |
それじゃ何か、俺たちじゃレベルが足りねえってのか? | |
いや、それにしたっておかしすぎる。やはり何か仕掛けがあると見た方が妥当だ。 | |
そうね、このまま戦うのは無謀みたいだし。 | |
とりあえず南東のエリアから探してみるか。多分、このフロアに奴を倒す鍵があると思う。 |
うお、またあれか。 | |
ということは、あのFOEがまた? | |
……違うな、俺たちがこいつに引っかかった途端、逃げていきやがった。 | |
え? それってどういうこと? | |
わからん、追うぞ。 |
一応追い詰めたけど、こっからどうにも捕まえらんねえ。 | |
あたしたちの2倍の速度で逃げるんだもの、追いつけっこないわ。 | |
完全に警戒されてるからなー。どうにかして警戒を解けりゃいいんだがよ。 | |
ということは、あれだな。 |
扉を出入りすると、連中は一旦警戒を解くからな。そこを突けばいい。 | |
それにしてもあたしたちから逃げるなんて、まるで倒してくださいといわんばかりね。 | |
ってことは、こいつが禍神を倒すための鍵か? | |
その公算は高いと思う。さて、一つ戦ってみるか。 |
この禍神の触手自体は大して強くないけど、よりによって吸い尽くす宿木を呼びやがる。 | |
宿木との戦いは現状単なる運勝負なのよね。 | |
つまり、仲間を呼ばれる前にぶっ倒せって事か。ちとキツくね? | |
キツいってか無理だな。先にこのフロアの探索を進めちまおう。 | |
ところでさっきの扉のさきはまた例のマップ機能が制限される空間だったけど…… | |
他にもトラップがありそうだよなぁ。 | |
ってか多分、これまでのギミックの集大成だろうな。 | |
モンスターもマップも、完全に総力戦の様相ね。 | |
ここまで来れた地力があれば、マップの踏破はどうにかなる。問題はその先だ。 |
大体一通りマップは埋めたが、ギミックの数に対して使えるマッピング機能が足りてねえな。 | |
うーんと、このフロアのギミックは全部で6つに分かれているのよね。 |
そしてメモを置いてあるFOEが禍神の触手だ。 | |
ぬー、どうしても警報装置に引っかかるところがあるぜ? | |
その場合、他のFOEで壁を作って追い込むんだろ。 | |
真東のはなんとなくわかるんだけど、北西はかなり複雑じゃない? | |
ちょっと黙ってろ、ああしてこうして……多分解けた。 |
三匹並んだ奴の一番上が魔界の邪竜。こうして追い込めば一匹は狩れる。 | |
残った一匹が問題だぜ。どうも追い込む手順が見えねえ。 | |
ちょっと変則的かもしれないけど、やり方はある。 |
まずは一旦エンカウントして逃げて、この位置に邪竜をおびき寄せる。 |
あとは適当に追い込んで終わり。 | |
はー、こういうやり方があったか。 | |
これで禍神の触手を倒す手立てがあればいいんだけどね。 | |
今のところそれがネックだなー。俺たちの火力じゃキツいぜ。 | |
それについての案が無いわけじゃないさ。まだ俺はすべての手の内を開かしちゃいない。 | |
となると、いよいよ終わりが見えてきたわね。 | |
まあ、最終決戦の前にはいろいろと下準備が必要だけどな。それに…… | |
それに? | |
まだちょっとやり残したことがあるからな。 |
ああ、やり残したことって最後の挨拶ね。 | |
オメーも最低限の礼節はわきまえてんのか。すげえ意外だぜ。 | |
いや別にそういうつもりで港に来たわけじゃ……まあいいか、挨拶回りぐらいしても。 |
街のみんな、終わりが近づいてる事は感じてるみたいね。って大分前からそうだった気がするけど。 | |
そりゃあとんでもない事が起こってるってのは、否応なしに耳に入ってくんだろうからなー。 | |
ってか規模的にも一部の関係者筋だけで隠せる代物じゃねえだろ。 | |
そこにひたすら巻き込まれて巻き込まれて巻き込まれ続けた感があるけどね。 | |
その厄介事の山も、あと少しで仕舞いだ。 |
あー、ここの酒が飲めんのもあとちっとの間か。 | |
それでママさん、旅立ったら手紙を寄越してそのうち顔を出してくれだって。 | |
参ったな、俺は筆不精どころじゃねえんだが……。 | |
手紙の一つや二つちゃんと書くの! | |
ハイハイ。 | |
そういや、ここで受けた依頼もとんでもないものが混じってたよなー。 | |
女王アリの一件とか、アルルーナとかね。あれは本当にヤバかったわ。 | |
結局、本職のファーマーが居なくてできなかった奴以外の依頼はやっちまったからな。 | |
何だかんだで結構稼がせてもらったよ。まあもう俺らにできる依頼は全部…… |
……ん? |