で、氷竜を探すっつっても白亜ノ森以外の情報はねえよなあ。 | |
いや、この階層でデカブツが鎮座していそうなところっつったら、ここしかないだろ。 |
あとはあの女の動向だが……。 | |
案外、先に倒しちゃっていたりして。 | |
そうだったら話が早いんだけどよ。 |
つまり、尻尾巻いて逃げろと言いたいわけか。 | |
そんじゃー、専門家に任せて俺たちは退散しますか。 | |
アホか! 一人で竜退治なんて無茶にもほどがあるでしょ? | |
冗談、冗談だって。 | |
ってか、筋論からいくとこれは俺らの片付けるべきヤマだろ。 | |
そういや三竜の封印解いたのは俺たちだな。 | |
そこに他人が巻き込まれるってか首突っ込むのはアレだからな。ここは退けない。 |
とりあえず俺たちとここで争うつもりはなさそうだが。 | |
でも氷竜と戦うことを諦めたわけじゃないみたい。 | |
こいつの腕を疑うわけじゃないが、流石に一人は無謀だろ。 | |
うーん、あんたが言うと説得力ないわ。 | |
おう、ゼロどころかマイナスだぜ。 | |
だからあの時はああする他なかったのはお前らだって…… |
……え? | |
おいおいおいおい、どんだけドジっ娘なんだこいつ。 | |
だから宿屋に取りに行ってきてくれって、自分で取りに行きなさいよまったく。 | |
かー、何か使いっ走りにされてるみたいだぜ。 | |
といってもここから梃子でも動きそうもないし、戻りましょ。 | |
……。 |
はぁ!? | |
……担がれたか。 | |
担がれたって、そりゃどういうことだ? | |
どうもあのアマ、俺たちを出し抜いて氷竜と戦うつもりだったらしいな。 | |
って、それ滅茶苦茶危険じゃない、すぐに向かわないと! |
遅かった!? | |
だから言わんこっちゃないっつーか、これ俺たちもヤバくね? | |
何にしろ、目の前のこいつを倒さないとどうしようもねえな。 |
さて、聞いた限りじゃとてつもない威力のブレスを放ってくるらしいけど…… |
きゃあ!? | |
何だこりゃ? | |
アイスブレスでHPの上限の数倍喰らったわ。 | |
……ひとまずアクセサリで凌ぐか。堅氷の護符二つで無効化できるはず。 |
それを無効化したところで、この竜乱錐がどうにもならねえぞ。 | |
突属性のランダム攻撃+スタンか。ブレスはスキルで防いで、こっちはアクセサリだな。 | |
突と氷だけが攻撃属性なら、なんとかなりそうじゃない? | |
だといいんだけどよ。 |
こんどは何!? | |
このアイスクラッシュは名前のわりに純粋な壊属性くさいぞ。 | |
そんじゃあこいつもアクセサリで……あれ? | |
装備枠が明らかに足りないんじゃない? | |
それ含めていろいろマズいぞ。 |
頭封じのおまけ付きって、これじゃスキルが使えないじゃない。 | |
しかもこのアイスクラッシュ、どうも必中くせえ。 | |
おいおいおいおい、それじゃ今回は雲隠が使えねえって事か? | |
いや、どのみちお前らは喰らうんだ、アイスクラッシュは護符で防ぐしかねえ。 問題は竜乱錐の方だが、こっちは一応普通に躱せる。しかしな…… | |
招鳥で引きつけきれないって事? | |
ああ。そして装備の関係上、二人は一発耐えるのが限度だ。何にしたって何度も逸れたらマズい。 | |
どうも状況は思わしくねえな。 | |
オマケに軽業まで取ると俺が使えるスキルがかなり制限される。 | |
あとこいつ、アイスシールドで攻撃が全然通らなくなるわね。 | |
だからリセットウェポンが必要だ。しかし誰がリセットウェポンを撃つんだ? 俺は無理だぞ。 | |
それじゃ、トリックスターのある俺だろうな。 | |
ブレスを防ぐのは? 5の倍数ターンに高確率で使ってくるぞ。 | |
えーと、頭封じがあるからゾディアックは無理だろ。だからファランクスをサブで取るしかないな。 | |
となると、その役はあたしじゃない? | |
さあ、どうやってダメージを与えるんだ? | |
……あれ? | |
つまり、詰んだってことか? | |
どうも今までの発想じゃ倒せなさそうだ。 | |
うーん、問題点はどこにあるわけ? | |
俺のスキルポイントだな。雲隠を切ると、軽業で永久機関ができなくなる。 が、雲隠を取ってると奴の攻撃を捌ききれない。というか既に捌ききれてない。 | |
竜乱錐を引きつけきれないのがね。せめてターゲットを二人に絞れればいいんだけど。 | |
ターゲットを二人に絞るか……待てよ、あの手があったか。 | |
何か思いついた? | |
必ず勝つ保証はできないが、一つ手段がある。 | |
何でもいいぜ、この閉塞した状況を抜け出せるんならよ。 | |
……言っとくけど、今回もすげえ面倒だからな。 |
スキルの割り振りだが、俺はサブでプリンスを取る。必須スキルはこうだ。 |
煙りの末 | Lv10 |
潜伏 | Lv1 |
招鳥 | Lv10 |
猿飛 | Lv5 |
王たる証 | Lv10 |
攻撃の号令 | Lv5 |
防御の号令 | Lv5 |
ショックアームズ | Lv1 |
リセットウェポン | Lv1 |
あたしは…… |
ヒーリング | Lv2 |
バインドリカバリ | Lv10 |
雷マスタリー | 取れるだけ |
特異点定理 | Lv5 |
エーテル圧縮 | Lv5 |
ダークエーテル | Lv5 |
TPブースト | lv10 |
何これ? | |
俺はわりとわかりやすいか? |
トリックスター | Lv10 |
銃マスタリー | Lv1 |
クイックドロー | Lv1 |
イーグルアイ | Lv5 |
盾マスタリー | Lv5 |
フリーズガード | Lv10 |
これをベースにあとは微調整だな。 | |
あー、また何か凄く嫌な予感がするわ。 |
まず分身を3体出さないとまったく話にならないので、そのための布石を打つ。 | |
耐突ミストと貫突の護符で竜乱錐を無効化するわけね。 | |
基本的にアルルーナ戦でやったのと同じだ。分身3体を出してようやくスタートだ。 |
この作戦は言ってしまえば、招鳥を二人にかけて延々と猿飛で回避するだけだ。 | |
攻撃手段は……あたしがエーテル圧縮だけ取って、星術を取ってないのは何で? | |
アイスクラッシュで頭封じ喰らうからな。つまり、ショックアームズからのエミットか、普通に殴るかだ。 | |
俺はイーグルアイの後はクイックドローで回復か? | |
その通りだ。ってか極論すると、俺たちの行動は次のテーブルの繰り返しだ。 |
ターン | シェイリン | モーガン | プログ1 | プログ2 | プログ3 | プログ4 |
n+0(ブレス) | エーテル圧縮 | フリーズガード | 招鳥 | 招鳥 | 攻撃の号令 | 招鳥 |
n+1 | 攻撃 | イーグルアイ | 猿飛 | 猿飛 | ショックアームズ | リセットウェポン |
n+2 | エーテル圧縮 | クイックドロー | 猿飛 | 猿飛 | 招鳥 | リセットウェポン |
n+3 | 攻撃 | クイックドロー | 猿飛 | 猿飛 | ? | リセットウェポン |
n+4 | ? | クイックドロー | 猿飛 | 猿飛 | ? | リセットウェポン |
えらいことシステマティックだな。 | |
これは氷嵐の支配者の行動パターンがこうなってるから、もう仕方がない。 |
アイスシールドと氷河の再生を後攻で確実に消し、竜乱錐を防ぐにはこれしかない。 | |
途中で頭封じとか、竜乱錐の流れ弾を喰らったらどうするの? | |
そんときゃアドリブでどうにかする。ただし、次のループではまた元のパターンに戻すこと。 | |
それで、これで一体何ターンかければ倒せるの? |
エーテル圧縮+イーグルアイ+攻撃の号令+ショックアームズでこれだから……。 | |
氷竜がアルルーナよりもHPが低いわけねえもんなあ。 | |
……いざとなったら、わざと分身潰して血返しの法で永久機関だ。 | |
いやそんなこと聞いてないでしょ。 | |
それにアムリタ結構いっぱい持ってきたし、大丈夫なはずだ。 | |
だからそうじゃなくて…… |
91ターン……。 | |
おう、最長記録更新だぜ。って何やってんだ。 | |
……だから言っただろ、すげえ面倒だって。 | |
ああ、うん、確かに言ったわね。 |
装備はこんなんだが、言っとくけどこれ以上の武器はもうないぞ。 | |
……つまり、これ以上の短期決戦は無理だったというわけね。 | |
今回も一手ミスったらその場で終わりだったからな。どんだけ神経使うんだよ。 | |
しょうがねえだろ、思いついちまったんだから。 |
ところでこいつは何だ? レベルキャップが解放されたっつーんだが。 | |
えーと、あたしらの強さの上限が上がったってこと? | |
……別に俺はこんなもんに興味はねえんだが。それよりウェアルフはどうした? |
……ダメだ、事切れた。 | |
彼女も覚悟をもって戦っていたというのはわかるけど、でもやっぱり…… | |
しかし、いくら竜殺しの家系だからって命を賭してまでやる事かねえ? | |
そうでもしないと子供を認められない親も、辛い立場だと思うわ。 | |
だからってわざわざ、氷竜に挑むか。しきたりだの家柄だのは本当にクソだな。 | |
やっぱ他にも三竜に挑もうって連中がやってきてんだろうな。 | |
うん、そう思う。 | |
三竜復活という果の因となったのは俺たちだ。とっとと次を片付けよう。 |