流石に王家の森の深奥だけあって、ここは今までのトラップが揃い踏みしてやがるな。 | |
つっても、これまでのフロアを踏破できたんだから、突破するのは難しくないだろ。 | |
そうね。冒険者の地力が試されているのはそうだけど、それは正攻法でやれるってことだし。 | |
全体的にマップの作りは奇をてらったものじゃないからな。というわけだ、急ぐぞ。 |
……あと残ってるのはこの扉の先だけね。 | |
ということは、姫様のいる場所でもあるわけだが。 | |
扉を開けたら深王とご対面ってのはなしだと思いたいぜ。 | |
……開けるぞ。 |
なんだ、誰もいなくねえか? | |
ううん、あそこに誰か……元老院のお婆さん? |
どうやらギリギリで手を打てたみたいだな。 | |
だったらどこに姫様は移動したんだ? | |
ここにくるまでに、もう一ヶ所転移装置が見える場所があった。多分そこだ。 | |
そこにいく方法は結局わかんなかったから、ここから繋がっているはずね。 | |
あー、つまりここで深王を食い止めろってことか。 | |
だろうな……どうやら、その深王がお出でのようだ。 |
……おい、どうやらこいつも殺る気満々だぞ。 | |
やっぱ戦うハメになんのか? |
……え? 一体どういうこと? | |
俺たちはフカビトを庇った事はないはずだがな。 | |
ってか明らかに正気を失ってないかこいつ? |
おいおいおいおい、一体どういうことだよそりゃ? | |
確かに姫様はあらゆる方法を用いて寿命を伸ばしてきたっていうけど、そんなまさか? | |
いやこれは明らかにおかしいだろ。どう考えても姫様がニセモノってのは無理がある。 仮にそうなら、もっと手っ取り早く海都と深都を殲滅できる方法がある。 | |
こいつはお前の言ってた通り、世界樹の傀儡になってる線が強そうだぜ。 |
ダメだ、妹の事も、かつての侍女の事も忘れてやがる。 | |
……やっぱり戦うしかないの? | |
こっちに戦う気がなくても奴らは殺る気だ。くるぞ! |
くそっ、いきなりこのダメージかよ! | |
流石に百年も戦い続けてきただけの事はある、半端じゃない。 | |
どうすんだこれ、深王が延々攻撃してきて、オランピアがサポートと盤石の体制だぜ? | |
深王の攻撃だけでも危険だってのに、オランピアが防御力低下や頭封じで退路を断ってきやがる。 | |
マジでヤバいな。突破口がさっぱり見えねえ。 | |
耐斬ミストで耐性を上げたら上げたで、どうも強化に反応して強烈な攻撃が待ってるようだ。 |
連携技のフィニッシュブローもあるか。 | |
これは勝ち目が薄いんじゃねえか? ムカつくぐらい完璧なコンビネーションだぜ。 | |
それに……一人完全に戦意を喪失してる。 | |
……。 | |
いやお前、この状況で戦う気が起きるか普通? 俺だってできれば戦いたくないぜ? | |
そうか……だったら二人共宿に戻っててくれ。 | |
お前、今何つった? | |
聞こえなかったか? 宿に戻っててくれ。 | |
もっぺん言ってくれ、俺の聞き間違いだと信じてえ。 | |
宿に戻ってろっつってんだよ。俺一人でこいつらの相手をする。 | |
……一体どういうつもりなの? | |
お前ら戦いたくないんだろ? | |
じゃあ何、あんたは戦いたいってわけ? | |
他に誰がこいつを止められるってんだ? | |
だからってお前一人が残る理由になんのか? | |
はっきり言うけど、足手まといなんだよ、二人とも。 | |
足手まといって、お前言っていいことと悪いことがあんだろ!? | |
……わかったわ。 | |
ってお前、こいつが一人で戦うことを認めんのか? | |
こうなったら何言っても聞かないの、こいつは。 | |
だからってこいつ一人戦わせるのは明らかに間違ってんだろ? 俺ら仲間だろ? | |
……仲間と思ってるから、戻ってくれっつってんだよ。 | |
はぁ!? | |
いいからさっさと戻ってくれ。 | |
ああもう、一体何しでかすつもりなんだよテメーは!? | |
……これ以上残っていても足手まといになるだけ。戻りましょう。 | |
ぬー、納得いかねーが、確かにそうかもしれねえ……。 | |
ケリを付けたらすぐに戻る。だから心配すんな。 | |
……絶対に生きて戻って来なさいよ? | |
……それだけは約束するよ。 |