……で何が起こったんだ? | |
ちっと外を見てきたが、どうも海流のトラップが停止したみたいだ。 | |
確か今までは海流に阻まれて到達不能なところがあったはずよね。 | |
ってことは、その先にあのケトスとかいうのがいるんだな? | |
それしかないだろ。あといくつか入手不能な宝箱があったから、先に回収しとくか。 確か入口付近の隠し通路の近くに一個、古代魚の巣への途中に一個あった。 | |
よく覚えてんなー。そういや古代魚といや、ムロツミの連中はどうしてんだろうな? | |
特に何も話が聞こえてこないから、少なくとも何かバカやってるわけじゃなさそうだが。 | |
……何だか胸騒ぎがする。 |
(おい、古代魚の巣を教えてくれとか言ってきてるぞ) | |
(教えられるわけないでしょ!) | |
(しらを切り通すしかないな。ここで面倒な事になるのはゴメンだ) | |
あー、その、あれだ。あんときゃ逃げるのに精一杯だったんでよー。忘れちまった。 |
おい、奴さん行っちまったぞ。 | |
ちょっと、これ追いかけて止めないとマズくない? | |
マズいっつーか、どう考えても死ぬぞあのガキ。追うぞ。 | |
あとカナエの方はどうするの? |
……このまま大人しくしてくれればいいんだけどな。 | |
嫌な予感がするけど、アガタを止めればそれでいいはず。 |
おい、この子も来ちまったぞ!? | |
それより古代魚の巣から何か聞こえるの! 急がないとマズいんじゃない? |
しまった、反応が遅れた! | |
このままじゃあの子の悪夢が現実になっちゃう! | |
くっそー、何か俺らの行動が裏目にでてねえか? | |
うるさい、急げ! |
……。 | |
……遅かったの? | |
そうみてえだな……。 |
それで今度は、自分が身を挺してこいつを助けたってわけか……。 | |
でもそれじゃ、残された方はどうすればいいの? | |
……。 |
あたしたちが彼らの手助けをしたのって間違いだった? | |
結果だけ見りゃ間違いかもしんね。でも放っておいたら放っておいたで、どうなってたかわからね。 | |
そりゃ、あのまま2人で探索を続けていたかもしれないけど。 | |
でも俺らが協力を拒んでりゃ、こうはならなかった気もするわけでな。 | |
あーもう、何か自分が嫌になるわ。 | |
……何でカナエはあの時生きて戻ってこられたんだ? 小さな子供が一人で逃げられるところじゃないぞ。 | |
おい、お前ちょっとはショック受けろよ! | |
ここで俺らが意気消沈して歩みを止めたら、それこそ死に損だろ。 | |
確かにそうかもしれないけど……。 | |
オランピアもそうだが、どうも元老院は元老院で胡散くせえ。 俺たちへ提供される情報がどうにも欠けてる気がする。 | |
ん、そうか? | |
迷宮探索の目的がさっぱり見えてこねえだろ。 | |
うん、それは気になる。まるであたしたちをいいように使ってるというか。 | |
別に単なる捨て駒扱いしてるわけじゃないだろうけどな。 でも話の核心を出してこないってことは、その程度の扱いってことだ。 | |
結局お前は何が言いたいんだ? | |
オランピアたちも元老院も、同程度に気にくわないって事さ。 | |
それじゃこの先どうするの? | |
面従腹背って奴だ。まだバックアップを受けられる以上は元老院に従う。 あのケトスとかいう奴のいう「真実」によっちゃ、こっちから切る。 もちろん、事の次第によっちゃオランピア側をブチのめす。 | |
おいおい、随分と物騒な事いってんなおめえ。 | |
でもこれだけ犠牲者を出し続けてまで迷宮を探索してるのは確かに妙だし、 それを阻止する側についてはまだ何もわかってないし。 | |
だからそいつを暴き立ててやろうってことか? | |
……俺たちにできる餞なんて、そんなもんだろうからな。 |
この扉の先に「奴」がいる。準備はいいな? | |
……うん。 | |
どんな野郎か知らねえが、洗いざらい吐いてもらわねえとなあ。 |
作戦は立てようがない。まずは正面から斬りかかるぞ。 | |
っておい、殺る気満々じゃねえかおい。 | |
この期に及んで穏便に済むはずないでしょ? | |
ま、そりゃそうだ。 |
……白い鯨か。なるほど、海の王を名乗れるわけだ。 | |
ちょっと、それよりこいつ回避率アップのスキルを使ってきたんだけど? | |
壊炎拳がスカりまくるな。俺の攻撃も当たりにくくなるぜ。 | |
こいつも影縫は必須か。 |
このオーシャンレイブ、全然当たらねえんだけど何だこれ? | |
異常に命中率が悪いんだろ。……ってことはヤバいぞ。 | |
どういうこと? | |
こいつ多分、バッドステータスや脚封じで動きを止めて、そこを仕留めてくるタイプだ。 | |
ちょっと、バインドリカバリなんて取ってないわよ。 |
そしてこの凍える引き波が列に対して氷属性+脚封じ。 | |
このあとのオーシャンレイブで前衛が全滅したぜ。 | |
どうするの、これ? | |
攻略の糸口は見つけたが、しばらく試行錯誤だ。できるだけ手の内を暴いておきたい。 |
えーと、大体わかってんのはこんなことか。 |
いろいろ試した結果、凍える引き波以外は全部頭技だった。 | |
でもこいつもHP多いぜ。頭封じしてる間に倒しきるとか無理っぽくね? | |
そもそも攻撃にも回復にもTPが足りなすぎるんじゃない? | |
一応、解決策はあるぞ。 | |
お、何か策があるのか? | |
まあな。とりあえず休養して、レベルをある程度戻してくれ。 あとどうも装備もちょっとショボいから、素材集めもな。 |
それで、一体どうやってケトスを倒すつもり? | |
あいつの攻撃で全滅の危険性があるのはオーシャンレイブだけだろ。 それさえ食らわなければまったく問題はない。 | |
つまり、あたしがリフレッシュとバインドリカバリで回復すればいいってことね。 | |
もっとも前衛にいるとグランドベリーで叩き殺されるから、今回シェイリンは後衛だな。 | |
おい、それじゃ俺一人で前衛かよ。勘弁してくれよまったく。 | |
ガタガタ言うな。ってかその愚痴は俺の役回りを見てから言え。 |
……肉弾? | |
ああそうだ。ちょっと試してみたが、分身の使った肉弾は別計算なんだ。 つまり分身しまくればその分だけ、殺られたときに肉弾が発動する。 | |
お前頭大丈夫か? | |
これしか思いつかなかったんだよ。というわけでシェイリン、血返しの法も頼むぞ。 |
大体わかったわ。あんたが肉弾でカウンターを取りつつ、あたしのTPを回復させると。 | |
レベルの関係上、どうしてもリフレッシュの消費がでかくなるからな。 |
そんで俺は……これどうすんだ? | |
基本はハンギングで頭封じを狙い、インザダークで攻撃しつつTP回復だ。 チェイスは狙えたら狙うぐらいでいい。 | |
ありゃ、チェイスをメインで狙うんじゃねえのか。 | |
トリックスターで回復しないからな。 | |
これで勝てるの? | |
理屈の上ではな。ダメだったら、スキルの微調整だ。 あとはメディカとアムリタを買い込んで、保険としてテリアカαとβを揃えとくか。 |
とにかく俺は分身を出しまくって、招鳥で分身に攻撃を引きつける。 | |
その間に俺は攻撃か。 | |
あたしはわりと手持ち無沙汰じゃないの? | |
えーと、適当に攻撃してリミットゲージを貯めてくれ。 まあ、そのうち回復で忙しくなると思う。 |
肉弾の威力はこの程度だ。 | |
危険な技のくせに威力はそこそこじゃねえか。 | |
そうだよ。それに分身を割られたら出し直さないといけないしな。 | |
随分と気の長い作戦ね。 | |
まあ、結局ナルメルも40ターンほどかけて倒したしな。そんぐらいは覚悟してくれ。 |
あとはリミットスキルを定期的に発動ね。 | |
そのリミットスキルだけど、どうも発動時に俺の分身が寝てたりすると、 そいつのリミットゲージが消費されないっぽいんだよ。 | |
え、それじゃ場合によっては連発できるって事? | |
まあ、狙って発動させんのは無理だろうけどな。 なんにせよ根気強く戦う必要があるよ。 |
そして数10ターン後……
よ、ようやく倒せたぜ。 | |
連続してこれだけのターンを戦い抜いたのは初めてね……。 | |
それでも今回は相手が良かった方だろうな。これで全体攻撃が激しい奴だとかなりキツい。 | |
ったく、早速次の戦いの心配かよ。ちったぁ肩の力抜けっての。 | |
こいつの性格からして無理でしょ。 | |
さて、こいつには聞きたいことが山ほどあるが……。 |
「約定」? 何の事? | |
畜生、もっと役に立つ情報を出せよ。 |
「彼にとっての救い」……それは深王のことなのか、どうなんだ!? | |
もうだめ、何も応えない。 | |
……結局何もわからず仕舞いか。 | |
しかしこいつ、どうも悪い奴には思えないぜ? | |
そうね。正々堂々と戦いを挑んできたし、悪意も感じられなかったもの。 | |
それだけで連中を肯定できるわけもないが……どうやらまだ先に進むしかなさそうだ。 |