このフロアのトラップは……要するに強制移動か。 | |
みたいね。どうしても先に進めずに押し戻されちゃう。 |
おまけにFOEが3体編成でうろついてやがる。 | |
こいつはちっと気をつけた方が良さそうだな。 | |
さっきのトラップで押されて、それで鉢合わせとかは勘弁して欲しいわ。 | |
ざっと地形とこいつらの行動範囲をみてみると、それは心配しなくてよさそうだ。 | |
しっかし、第1階層に比べて大分慣れてきたっつーか、歩みが早くなったな俺たち。 | |
流石にもう雑魚相手に遅れを取らなくなったからな。 |
オランピアちゃんじゃないの。あの時はどうも。 | |
この子もつくづく不思議というか、こんなところで何してるんだろう? |
ははーん、それで期待のルーキーたる俺たちにお願いしようってことか。 | |
一体どういう理由で自分で確認できないんだろうな? | |
バッカ、そりゃお前、危険なモンスターがうろついてるからだろうが。 | |
このあたりも十分危険だと思うけどな。 | |
だーかーらー、それ以上に危険なんじゃねえの? |
その先には通路を阻む危険な魚が徘徊してると。言った通りじゃねえか。 | |
なあ、この依頼を受けた連中は全滅してるんだよな? | |
普通に話を解釈するとそうなるわ。 | |
ここで俺たちが見事に次のフロアへの階段を見つけりゃ、ものすげえ手柄じゃねえか。 | |
……他に道がありそうもないし、行くか。 |
しかしお前、さっきからノリ悪いな。 | |
なあ、あの子一体何者なんだろうな? | |
ん、そりゃあおめえ、えーと、何なんだろうな? | |
確かにあたしたち、あの子について何も知らないわ。 | |
元老院の婆さんは、オランピアについて何も言ってこなかったな。 | |
となると、元老院の指示で動いているわけじゃない、ということ? | |
あとこの階層に深都の手掛かりがあるって噂、大元はオランピアじゃないか? | |
そうかもしんねーけどよ、お前何が言いたいんだ? | |
あんたこそもうちょっと疑うって事を覚えたらどうだ? | |
おいおい、そりゃ一体どういう意味だ? | |
はいそこ喧嘩しない。ちゃっちゃと先に進むわよ。 |
しかし確かに強制移動とFOEが厄介だが、そこまでの難所かな。 | |
注意深く進めばなんとでもなりそうなのに、何で誰も踏破できなかったの? | |
単に俺たちが優秀なだけじゃねえの? それよかどうもこの通路の先以外に道はなさそうだな。 | |
となると、この先にその隠し階段があるわけね。 | |
おう、多分そうだ。さーて、深都の情報に一番乗りだ。 | |
……。 |
ちょっと、何でここにこんなものが散らばってるの? | |
知らねえよ。でもこの小部屋に隠し階段があるはずなんだぜ? | |
……おい、どうもヤバいことになってるぞ。 |
げげぇ、何だこいつら!? | |
チッ、やっぱ罠だったか。 | |
オイコラ、「やっぱ」って何だよ「やっぱ」って!? | |
ちょっと、それよりどうすんのこの状況? | |
えーと、隠し階段から逃げれば……ってどこにもねえ!? | |
それじゃ逃げ場がないじゃない! | |
いや落ち着けよ。多分他の連中はパニクって判断ミスって死んだんだろ。 | |
そ、そうね。 | |
とりあえずオランピアを問いただす必要があるな。 |
……一体どうなってんだよまったく。 | |
「どうなってんだ」? 「なんのつもりだ」だろ、この場合。 |
ついに本性を現しやがったな。 | |
だー、一体何がどうなってんだよ? | |
……この子、あたしたちをハメたんだ。 | |
そういう事だな。そしてあの部屋に散らばってたのは、同じくハメられた奴らの遺品だ。 |
……どうすんだよ。 | |
元老院に報告するしかないだろ。どう考えてもこいつの罪状は一つ二つじゃないし。 | |
……なんで第1階層で俺たちの手助けをしたんだろうな? | |
一旦信用できる人物を装っておいて、それから罠にかけるという算段だったのかも。 | |
第1階層は元老院が探索し尽くしてる以上、そこで罠にかけるわけにもいかないだろうしな。 |
やっぱ元老院側は第2階層は桁違いに危険だって認識だったらしい。 | |
そうでしょうね。冒険者を罠にかける奴がいるなんて、想像できないもの。 | |
そう、そこなんだよ問題は。俺たちを罠にかけて、一体何の得があるんだよ? | |
それについては心当たりがある。そんなことより、ミッションが出たぞ。 |
当然、受けるだろ? | |
あったり前じゃない! あたしたちをハメるなんて、いい度胸してるわ。 |
おいおいちょっと待て、その間ずっと犠牲者を出し続けてたのか!? いい加減、途中で勘付いてもいい気がするぜ。 | |
いや、ずっとあの罠を使っているとは限らないだろ。 手を替え品を替え、あらゆる妨害工作を講じてきたんじゃないか? | |
でもそれだけ犠牲者が出ていたら、途中で諦めない? そこまでして探索する理由って何? | |
……ひとまずミッションの遂行を考えよう。 |
で、B6Fはもう一通り探索しちまった気がするんだが、どうすんだこれから。 | |
オランピアが俺たちから逃げるとき、隠し通路を使ったはずだろ。 | |
ああ、確かにそうだな。そいつを見つけりゃいいのか。 しっかしあれだな、確かに言われてみりゃ怪しいところだらけだったぜ、あのアマ。 | |
うん、まあ、出会ってすぐに親切にされたら、信用しちゃうでしょうね。 | |
くっそー、ありゃ絶対俺に気があると思ったんだけどよー。 | |
……あんたも引っ捕らえた方が良さそうね。 | |
へ? | |
おい、隠し通路はこっちだ。行くぞ。 |
一通り探索したが、こんな装置しか見つからなかったな。 | |
となると、下のフロアね。それにしてもこれ、一体何? | |
何となく、このフロアの仕掛けに関わっていそうだけど。 | |
ところでプログお前、さっきオランピアのやったことについて心当たりあるっつったよな? | |
ああ。心当たりっていうのはちと言い過ぎだけどよ。 | |
ちっと話してくんねえかな。 | |
いいけど、どっから話すべきか……この都市の世界樹伝説と似た話があるってのは前に言ったよな。 | |
おう、あんときゃ途中で邪魔が入って、全然聞けなかったけどよ。 | |
だいぶ端折っちゃうけど、こいつは大陸の方の話だ。 「かつてこの地が滅んだのち、世界樹を根付かせて大地を蘇らせた男がいた」 「その男は世界樹の下に国家を作り、国家を繁栄させつつも世界樹の秘密を守っていた」 | |
「そしてその秘密を守るため、人のようで人でないものを守護者として作った」だっけ? | |
そうだ。 | |
で、その伝承の続きは? | |
ある冒険者の一行が守護者の一族を滅ぼし、造物主にも等しい者を倒したそうだ。 かくして世界樹の秘密は暴かれ、造物主と人間の戦いの物語が生まれたって話だ。 | |
……それがオランピアとどう結びつくんだ? | |
いやなに、あの子が深都の守護者か何かで俺たちとは別種の存在だとしたらと思ってよ。 | |
確かにそれっぽく聞こえるけど、その伝承って数年前にどっかから湧いて広まったような話じゃない? | |
まあな。だけどこの都市の世界樹伝説と符合する点がなくもないだろ。 とはいえまだ憶測だよ、何もかも。それよりも今はミッションのことを考えよう。 |