おろ、レン姉たちじゃん。 | |
まるで俺達を待っていたように見えるな。 | |
やっぱり、レンさん達もこのミッションに関わっているんでしょうか? | |
いや、さっき執政院で話を聞いた限りでは、彼女達に指令は出されていないはずなのだが。 | |
でもだとすると何のために現れたんでしょうかねぇ。 |
これってもしかして、俺達じゃ危ないって言ってるのか? | |
そうとも取れるな。純粋に心配してくれているのか、それとも他意があるのかは判断しかねるが。 | |
心配してくれてるんだと思いたいんですけどねー。 | |
さて、レンの話によれば、このフロアには壁沿いに進んで抜け道を探すのが得策らしい。マップ上に回復の泉があるから、そこを確認したら探索開始だ。 |
ありゃ、なんかリクの術式が全然通じなくね? | |
どうやら雷に対して多少の耐性があるようだな。 | |
火劇の序曲を使ったらダメージが跳ね上がったんで、多分弱点は火属性でしょうねぇ。で、大爆炎の術式とかを取れるだけのスキルポイントは? | |
無いな。これは確実にマズい。 | |
んー、一旦休養したらどうだ? 別にそんぐらい俺は構わねーぞ。 | |
……ここら辺がターニングポイントだな。 | |
どういうことだ? | |
ああ、先の事まで考えてみると、そろそろ俺を中核に据えた戦い方を改めるべきだと思っていてな。 | |
えーと、もうちょっとわかり易く言ってくれると助かるんですが。 | |
大体クイーンアントを倒したあたりまでは、俺が最大火力を叩き込むという戦い方で、みんながそのサポートという形だったよな。ところがその後、弱点を突けないあるいは耐性を持っている相手には俺の術式じゃ力不足になった。それに TP やスキルポイントが明らかに足りない。 | |
いや、だからそれがどうしたっていうんだよ。 | |
単刀直入に言うぞ。新人を入れて、俺は一旦待機メンバーになる。 | |
……マジかよ。 | |
ふざけてこんな事を言うはず無いだろ。 | |
いやいや、だとしたら誰が戦闘の中心になるんだよ!? | |
お前以外にいないだろ。 | |
!? | |
いいか良く聞け、俺はもう能力的に先が見えてるんだ。確かに単純なダメージ能力はレベルが上がれば向上するだろうが、強敵相手の長期戦において、戦闘の流れを変えられるような能力は持っちゃいない。だけど、お前は敵の能力を封じて戦闘の流れを一気に変えられるんだ。実際、これまでの戦いも実はキーになっていたのはお前なんだ。 | |
いや、だからってお前とチェンジしなきゃいけない理由って何だよ? | |
お前のサポートとして俺より適任の職業があるんだ、そちらに切り替えない理由はないだろ。大体このギルドからおさらばするわけじゃないし、そんなに騒ぐ事じゃないだろ。 | |
ってか、リーダーが引っ込むとかマジでありえないぜ。 | |
おいおい、俺は自分がリーダーだなんて言った覚えは無いぞ。 | |
えーと、でもそれじゃ誰が今後は指揮をとるんでしょうか? 特に今の話だと、強敵との戦いでは確実にリクさんが離脱するんですよね? | |
そ、そうですぜ。今まではぶっちゃけ戦術で勝ってきたようなもんでしょう。 | |
私にはあまり大胆な作戦を考えることはできないだろうしな。そちらでの弱体化はかなり深刻では? | |
俺は今までお前の采配を信頼して戦ってきたんだ、今更そんな事言われても……。 | |
そうか、俺をそこまで信頼してくれるのか。じゃあ一つ作戦を授けてやる、「俺の代わりにお前が指揮をとる」。 | |
マジな顔してそんな冗談をいうんじゃねえよ! | |
冗談でも何でもなくてマジな話だ。さて、実は冒険者ギルドには既に話を通していて、そろそろ新人の奴が到着してるはずだ。 |
……話はそこの男から聞いている。クォーソンというものだ。よろしく頼む。 | |
ああ、よろしく……ってカースメーカー!? どうやってリクが抜ける分の火力を補うんだ? | |
会って早々に失礼な話だが、確かにどうやって戦術を組み立てていいのかわからないのも事実だな。 | |
それは我輩も同じ事だ。 | |
とりあえず基本的な戦略に付いては考えてある。ちょっとヨハンとカタリナは休養して、クォーソンを連れて俺の言う通りレベル上げをしてきてくれ。 | |
で、その戦略って何だ? | |
あいつらが戻ってきたら話すよ。 |
さて、リクからの指示通り「カエル増殖」でレベルを上げているのだが、確かにこれは効率の面でもリスクの面でもいいやり方だな。 | |
手順は簡単で、死なない程度にダメージを与えた森林ガエルを残して、ひたすら仲間を呼び出させるだけですからね。ところで、クォーソンさんはどうしてあたし達に協力することに決めたんですか? | |
別に理由はない。ただ、我輩達カースメーカーはあまり目立つ存在ではないというか、その存在を目にする前に探索を断念するものも多くてな、少々退屈していた所だ。 | |
た、退屈しのぎですか……。 | |
そういうことになるな。リクといったか、貴様等のリーダーらしきあの男から話を聞かされ、これは何か大きな陰謀があると思ってな。 | |
うーん、ミッションの内容は承知してますよね? | |
当たり前だ。そもそもだな、いくら意志の疎通ができる相手とはいえ、貴様等は情に流され過ぎなのだ。戦いが不可避のものになってしまった以上、覚悟を決めて挑むべきだろう。半端な心構えでは誰のためにもならぬ。第一、そこまでモリビト殲滅を回避したいなら、執政院と事を構えるのが筋ではないか。 | |
うう、そういわれると反論できないです……。 | |
……確かレベル 35 前後まで上げてこいという話だったな。そろそろ戻ろう。 |
今戻った。できれば休養してレベルの上げ直しは二度とやりたくないな。 | |
お疲れ。まあ、当初の予定のままで最後まで行こうってのも甘い話でもあるし、仕方ないだろ。 | |
それで君の言う通りにスキルを振り分けたのだが…… |
これは私も積極的に攻撃に回れということかな。 | |
あたしだってそうですよー。 |
何ですかこのヘヴィストライクって。あと ATC ブーストを最大まで上げたら大変な事になりました。 | |
残るは我輩だな。 |
我輩は今後の伸ばし方次第でいくらでも変わるのであろうが、重苦の呪言が異彩を放っているな。 | |
とりあえず基本的な戦略の骨子を説明すると、まずカタリナには前衛に出てもらって前衛三人体制でやってもらう。流石に前衛二人じゃ敵の攻撃を防ぎきれない。 | |
でもあたしの防御力じゃすぐに倒されちゃいそうですー。 | |
いや、基本的に最初のターンは防御してもらっても構わない。聖なる守護の舞曲と力祓いの呪言で敵の攻撃力を弱体化させて、そこからじっくりと戦うことも視野に入れてくれ。 | |
前衛を増やしたからといって攻撃的になるわけではないのか。考えたな。 | |
あとユーロニモスはエクスタシーを習得しておいてくれ。 | |
わかった。ってか、クォーソンに重苦の呪言を習得させた理由はそれか? | |
まあな。封じ効果の呪言もいくつか覚えてもらえば、より盤石の体制になるよ。 | |
なるほどな。それじゃ、探索再開だな。 |
っていうかこいつら壊属性が弱点みたいだから、モリビトの戦闘員ばっかり三人で出てきたら 1 ターンキルになっちまってる。 | |
毎回そういうわけではないのだが、確かにこの体制の方がこの階層は突破しやすそうだ。それに他の出現パターンの時には…… | |
我輩の力祓いの呪言で相当な軽減率になるからな。よほど運が悪くなければ、全滅には至るまい。 | |
でもあたしが回復に回れないケースもありそうですから、回復アイテムをちょっと多めに持っていた方がいいですー。 | |
しかしまあ、思ったよりもすんなりと新しい体制で戦えてますねえ。 | |
んー、ぶっちゃけ今はあいつの作戦を実行してるだけだからなー。上手く行かなかったら嘘だぜ。 |
どうやらここがレン姉の言ってた抜け道らしいな。 | |
彼女の話によればこの先には強敵が待ち構えているはずなのだが。 | |
だからって避けて通るわけにもいかないし、腹括っていこうぜ。 |
で、こいつがその強敵ですかい? | |
見た目に惑わされるな、おそらくそれが狙いだ。 | |
それじゃ、どういった戦術で戦いましょうかー? | |
あー、俺としては習得したエクスタシーの試し撃ちをしてみたいんだけど。 | |
我輩も重苦の呪言の性能を確かめたいと思っていたところである、その案に乗ろうではないか。 | |
残りのメンバーは敵の攻撃が封じで無力化されるまで、防御的に行動した方がいいだろうな。 | |
よし、それじゃ作戦開始だ。 |
……何というか、流石にちょっとこれはいたたまれないな。 | |
封じ耐性が低いんですかねー。それに重苦の呪言で封じの持続ターンが伸びてるはずですから、負ける可能性はないですー。 | |
それじゃ、早速エクスタシーをブチ込んでやるか。 | |
……この文脈だと変態発言にしか聞こえないんですけどー。 | |
いやいやいや、そういう意図で言ったわけじゃないんだぜ。 | |
いや、君には前科があるだろう。シリカ商店に初めて行ったときに何と言い出したのだったかな。 | |
ストロングスタイルのスケベですからね、この人は。 | |
ああもう、お前らうるせー! |
……。 | |
な、なんですかこのダメージ!? | |
驚いたな、私のシールドスマイトの比ではないぞ。 | |
スキルレベル1でしょう、今は。それでこれというのは、何ていうか規格外ですぜ。 | |
俺も自分で驚いてるっての。俺、こんなポテンシャルがあったのか。 | |
まったく侮れん奴だ。もっとも毎度々々貴様だけで上手く行くとも限らぬのだ、我輩も協力することにしよう。 |
あと似たような F.O.E. としてこいつも出てきた。 | |
全体に混乱効果のスキルを持っているので、頭封じに失敗すると一気に危険になるな。 | |
でも基本的な攻略方法は二体とも同じですねー。 | |
そういや両方共、エクスタシーで倒したら条件付きドロップを落としましたぜ。 | |
エクスタシーってか、三個所封じっぽいなー。しかもアイテム名が濡れた…… | |
ストップ、それ以上はセクハラですよ? まあ、条件付きドロップですから多少は高く売れるでしょうし、とっとと売っ払いましょう。 |
で、売っ払ったら有り得ない武器が作られたぜ。 | |
何が有り得ないって、この金額がまず有り得ないです。 | |
ふむ。こいつを装備できれば相当戦闘が楽になるだろうが、所持金の6倍以上というのはな。 | |
ないものねだりをしても仕方がなかろう。 | |
そうだなー、それじゃ B18F に戻るか。 |
というわけで、 B18F のマップ大体完成だ。 | |
……君をリーダーに任命したのは失敗だった気がしてきた。 | |
えー、だってこんだけ広いんだから、何かあるって思わないとダメだろ。 | |
いや、確かにアイテムポイントもいろいろ見つかったのだがな。 | |
でもそこで取れるものを片っ端から売っても、全然さっきのクイーンズボンデージの購入金額に届かないんですよ? | |
こういうのは地道にコツコツやってきゃそのうち溜まってるもんだって。そういや、 A-5 の大木にこんなのがあったな。 |
回復の泉の近くを徘徊して、時折ワープする F.O.E. がそうなのかと思っていたら違ったようだったしな。 | |
確か「世界樹の中葉」といったな。捕まるのにえらく苦労したが、アレは一体なんなのだ? | |
わかんねー。だけど、前にも似たようなのに遭遇してるんだよな。 | |
何かこの世界樹の迷宮に関係したものなんですかねぇ。 | |
ま、意外と何でもないって落ちが付きそうではあるけどよ。それじゃ次のフロアだな。 |
ユーロニモス | レベル39 |
ヨハン | レベル37 |
カタリナ | レベル37 |
アポロ | レベル39 |
クォーソン | レベル32 |