さっきの階層とはまるで逆、まったく不自然極まりないな。俺にはどうもこの樹海が自然にできる物とは到底思えない。 | |
じゃ、誰かが作ったって事か? おいおい、こんなもんを好き好んで作るパラノイアがどこの世界にいるんだよ。 | |
……俺はこのまま探索を続ければ、それがわかるんじゃないかと思ってるよ。 | |
でも誰かがこの樹海を作ったとしたら、その「誰か」って殆ど神様みたいなものですよねー。 | |
随分と壮大な話になってますねぇ。でもそれよか、今はこの階層を踏破するのが第一でしょう。 | |
ま、その通りではあるか。 |
それで適当な扉を開けたら、いきなり強制移動床で驚いたぜ。 | |
途中でカーブしたりしますから、ちょっとマッピングが大変ですよー。 | |
いや、そもそもどうマッピングすればいいのだこれは? 使えるアイコンが明らかに足りない。 | |
次の階層へのルートだけにイベントアイコンを置いて、本道とそれ以外を区別するぐらいしかできることはないな。 |
途中で出てきた F.O.E. は弱っちかったですねぇ。 | |
おう、雑魚との戦いに乱入されても何ともなかったぜ。 | |
全体に毒攻撃をしてくるだけでしたからね。あたしが毎ターン回復していれば問題なかったです。 | |
他のメンバーが防御にまわる必要がないせいか、比較的早く撃破可能だったな。これまでの F.O.E. の方が明らかに強かった。 | |
マッピングが若干厄介な事を除けば、このフロアの攻略は容易か。 |
おろ、ツスクルちゃんじゃねえか。 | |
レンさんとは別行動なんですねー。それにしても、こんなところで何を? |
「流れる砂の音を聞きながら待っていた」なんて、ちょっと詩人じゃねぇですかい。 | |
しかし我々を待っていたということは、一体どういうことなのだろうな。この世界樹の迷宮に関わることだとは思うが…… |
ええっ、それってどういう事ですか!? | |
何か深い事情がありそうに思えるが、これだけでは何とも言えんな。 | |
そこは聞かない方がいいでしょう。わざわざこうして一人で会いにきて助けを求めるんですから、ここは意を汲んでやりましょうや。今まで散々世話になった事ですしねぇ。 | |
あ、確かにそうですね。ここは一つ恩返しをしとかないと! |
どうやらこれで、カースメーカーが作れるようになったようだな。 | |
でも俺らのパーティって、別に入れる必要なくね? | |
というか、このメンバーの誰かを入れ替えるとか想像できないですよー。 | |
……まあいいか。それよりも彼女が待っていたということは、どうもこのルートが正解のルートらしいな。ひとまず先に進もうか。 |
どうやら一旦街に戻る必要がありそうだな。 | |
? | |
いや、ここのくぼみが執政院に届けた石版の形と一致してるんだ。 | |
そういえば、あの石版って亜人種の子が落としていったものですよね。 | |
そういう事。あとは探索の続行に難色を示している長の許可だけだ。 | |
あー、街に戻るんならさ、ちょっと先に寄りたいところがあるんだけどいいか? | |
……大体予想が付くが、まあいいか。 |
さて、いい加減これはフラグが立ったとみなすべきだと俺は思うんだけど、みんなの意見はどうよ? | |
ったく、少しはアイテムの値段の高騰っぷりに気がつけよ。 | |
こうして男性客をガッチリと捕まえるんですねー。 | |
確かに商売上手といえばそうなんだけど、こうしてその手に搦め捕られてる奴を間近に見るとな。 | |
……いい加減、執政院に向かわないか? | |
おう、悪い悪い。いやー、ここまで明らさまだと俺でもちょっと照れるぜ。 | |
……本気でお前のアホさが羨ましいよ。 |
ありゃ、この兄ちゃんだけじゃ決定できないのか。 | |
これはかなりの重大事案だからな。長に伺いを立てる方が自然ではないかな。 | |
でも長は慎重派なんですよね、樹海の探索には。 | |
(ここで長がどう出るかで状況は大分見えてくるんだが……) | |
ありゃりゃ、また考え事ですかい。そろそろ長がお見えになりますぜ。 |
モリビト、か。森の住人であり、森の守護者というわけか。 | |
今まで樹海の奥に進んだ冒険者はモリビトに倒されてきたって言うけど、これはマジなのか? | |
あのモリビトの少女の態度と引き連れていたモンスターからすると、恐らくは事実だろうな。ただ、彼女達の住処を我々が荒らしているだろうと思うと、複雑な心境なのだが。 | |
そこなんだよなあ。長に「探索は中止」って言われたら、流石にそれに逆らってまで探索する価値ってない気がするし。 |
ありゃ、てっきり長は探索に反対するんだと思ってたぜ。 | |
意外ですねー。何か心境の変化でもあったのでしょうかー? | |
このままモリビトと決裂したままはマズいと思い、探索しつつもモリビトと対話を進めろという事なのかもしれない。 | |
それもありそうですねー。大変そうですけど。 | |
……おい、ミッションが発動されたぞ。どうもこいつを受領しない限り、俺達はこの先に進めないようだ。 |
え……えええええええええええ!? | |
待て、これは流石に予想外ってかありえねえぞ。 | |
モリビト殲滅って、そもそも最初にやっちゃったのはあたし達じゃないですか! 納得行かないですよ! | |
私もこれは受領しかねるな。 | |
あっしも流石に、これは……。 | |
とにかく、こんな依頼は受けられません! | |
俺だってこれは気が乗らねえよ。 | |
……そうか、みんな反対か。 | |
そういう君はどうなんだ? まさか賛成なのか? | |
い、いくらリクさんでもこれには反対ですよね? | |
とりあえず今日は一旦休もう。明日、改めて話をしよう。 | |
そうですねぇ。あまりの事に気がちょいと動転してるんで、一晩休んで心を落ち着けた方がいいでしょうな。 | |
よし、それじゃ解散だな。 |
……お前、あのミッション受けるつもりだろ。 | |
ああ。流石にこれを強制するつもりはないし、どうみんなに話せばいいのかわからん。それでお前はどうする? 別に手を引きたいんならそれでもいい。 | |
まさか。お前の考えてる事はぶっちゃけ全然わかんねーけど、多分そんな間違ったことは考えてないと思うからな。今回の事も、それなりに理由があって引き受けるんだろ? | |
じゃあ、仮に俺が途中でリタイアしたとして、それでも続ける覚悟はあるか? | |
おいおい、たちの悪い冗談はやめようぜ。じゃ、また明日な。 | |
……。 |
というわけだ。俺はこのミッションを引き受ける。どうしても嫌だというなら去ってもらっても構わないし、その事について咎めようなんてつもりは一切ない。 | |
……どうして。 | |
君の事だから何か考えがあるだろうとは思うが、それが何であれこのような非道なミッションを受ける理由になるとは思えん。 | |
いくら何でも、こればっかりは無いと思いますぜ。 |
これは長が絶対に間違ってますよ! それに今までは樹海の探索を進めることに慎重だったのに、いきなりモリビトを殲滅しろだなんて、どう考えても筋が通ってないですよ! | |
ああそうだ、明らかに長の言ってることはおかしい。だから俺は引き受ける事にしたんだ。 | |
……へ? | |
ちょっと待ってくださいよ、明らかにおかしいってわかってて引き受けるって、それこそおかしくないですかい? | |
いいか、第3階層に達したあたりでは間違いなく長は樹海の奥に進むことに慎重だと言っていた。考えられる理由は、その時点ではモリビトとの無用な衝突を避けるためだと思っていたんだ。事実、樹海の奥に行かなければモリビトと戦うことはないんだからな。 | |
そうだったな。我々は長がモリビトとの間に問題を起こしたくないのだろうと思っていた。それがまったく逆の展開になった事に驚いているのだが。 | |
そうなんですよ、いきなりモリビトを殲滅しろだなんて……もう、あたしには一体どうなっているのかさっぱりです。 | |
ってことは、リクの兄さんは何かそれについて思い当たる節でも? | |
いや、まったく無いんだ。だけど、単なる気まぐれや表面的な欲望だけで長があんな事を言い出すとも思えない。そして俺はそれが世界樹の迷宮を解き明かす鍵なんじゃないかと思っている。俺達が退いたって代わりのギルドは出てくるだろうし、いざとなればレンとツスクルに声がかかるだろう。どうせ誰かがそのうち手を汚すんだ、だったら俺が受けようってことさ。 | |
……。 | |
……。 | |
……。 | |
あー、言っとくけど俺もこのミッションを受けるつもりだからな。俺も無理強いはしねえけどよ、でもここまで来たら毒を喰らわばなんとやらじゃね? | |
……しょうがねえ人達ですねぇ。こうなったら、トコトン付き合うとしましょうかね。 | |
……確かに、仲間にだけ業を背負わせるのも気が引ける。 | |
すまないな、本当に。さて、カタリナはどうする? | |
あたしがいなくなったら、こんな厄介な仕事を受けてくれるメディックなんてまず見つからないですよね……。 | |
そういやそうだな。俺だったら嫌だぜ、こんな面倒事。 | |
正直かなり厳しいことになるとは思うが、それがカタリナの意志なら…… | |
あーもー、あたしも引き受けますよ! | |
! | |
勘違いしないでくださいよ、こんな面子に任せたらどんな事になるかわからないから、不安になったってだけですからね! | |
なんだ、結局みんな参加してくれるんじゃん。よかったな、リク。 | |
ああ、本当に感謝するよ。辛いミッションだけど、覚悟決めて行くぞ。 |
おい、これでこのフロアのマップは完成だな。抜け道が一方通行ばかりだったのも地味に面倒だったな。 | |
しかし、主要なルート以外はしばらくこないと忘れそうだ。 | |
んー、まあアイテムポイントは行き方わかるし、他のところは二度と行かなくて良さそうだし、別にこれでよくね? | |
確かにそうなのだが、このような仕掛けになるとこの地図の機能ではやや力不足か。 | |
しかし参ったな、雑魚相手に俺の TP が息切れすることが多くなってきた。スキルポイントの都合上、 TP リカバリもは取得できないし、複数系統の属性の強化も難しい。そもそも特に弱点のない敵相手には、レベル10の術式でも一発では勝負を決められない。 | |
うーん、アムリタIIを多めに用意すれば良くね? | |
あのですね、装備品が高くなってきていて、消耗品に回す資金が慢性的に不足してるんですよ。 | |
そういう事だ。あのボッタクリ商店、本当にいい商売をしてるよ。 | |
シリカちゃんはそんな娘じゃねえ! | |
そうかな? 俺の見立てじゃ、他の冒険者にも「おかえり!」とか言ってると思うんだけどな。 | |
この野郎、心を折るような事を言いやがって……。くそっ、次行くぞ! |
ユーロニモス | レベル35 |
リク | レベル35 |
ヨハン | レベル35 |
カタリナ | レベル35 |
アポロ | レベル35 |