えーと、前回はどこまで話したんだっけ。 | |
まだ樹海に入ってすらいないところです。 | |
私たちも最初はそうだったな。まったく、グダグダと長話が過ぎるのだ。 | |
まーまー、いいじゃない。それじゃ、続きを話してよ。 | |
おう。思えばここと同様、早速最初のミッションでかましてくれたんだよなあ……。 |
だから言っただろう、樹海に入る前に執政院に顔を出そうと。 | |
くっそー、こんだけ辺鄙な田舎町だから、警備とかザルもいいところだと思っていたんだけどなー。 | |
この樹海はここエトリアの生命線といっても過言ではないはず。私なら最優先で警備を回す。 | |
ま、諦めて執政院に行きましょうや。 |
ここが執政院ですかー。辺境の地といえど、流石にそれっぽい作りになっていますね。 | |
ユーロニモス、わかっているとは思うが無礼な態度を取ったりはするなよ? | |
ハイハイ、わかってますよ。 |
樹海探索の資格を得るための試練か。考えてみれば当然のことではある。 | |
ったくしゃーねーなー。それじゃ、ちゃっちゃと済ませちまおうぜ。 | |
ミッションをこなす前に、街にある施設を一回りした方がいいと思うんですがねえ。 | |
そうだな、俺も施設を一通り見て回った方がいいと思う。それに初期装備では前衛のお前とヨハンは特に不安だ、武具屋で装備を整えた方がいい。 | |
それじゃあ、とりあえず宿屋に行きませんか? | |
んー、じゃあそうすっか。 |
ありゃー、「馬小屋に泊まる」はねえのか。 | |
バカ、あるはず無いだろ。 | |
「馬小屋」???? | |
ふむ、それを知っているとはつまりそっち方面の出自か。だがあまり貧乏くさいのは感心せんな。 | |
あっしには何の事やらさっぱりわかりませんぜ。 | |
いやまあ、わかんねーならそれでいいや。次いこうぜ。 | |
すいません、ちょっと次は施薬院に寄ってもいいですか? | |
お、メディックだけに気になるんですかい? | |
ええ、ちょっと。 |
ここで戦闘不能者の治療や薬品の購入を行うんですね。私の治療スキルが低いうちはお世話になることが多そうです。ところでこの施薬院の先生、どこかで見たことがあるような……。 | |
あるようなじゃねえよ、まんまだよ。 | |
セルフパロディというかスターシステムですし、別にいいんじゃないですかねえ? | |
まあ、だからなんだという気がしなくもないしな。 | |
むむ、今度は私にはさっぱりだ。良ければ誰か後で教えてくれ。 | |
いい加減次は武具屋に寄ってもいいか? このあたりではシリカ商店というところが一手に引き受けているようだ、そこへ行こう。 | |
すいません、考えてみればそっちの方が優先度高いですよね。 | |
まーどうせ全部回るんだし、別にいいと思うぜ? |
褐色! 下乳! ボクっ娘! | |
死ね! | |
あまり好色そうな視線を投げかけるな、失礼だぞ。 | |
いやでもこれは男としては反応しないわけには行きませんぜ。 |
ヤベー、もうシリカちゃんの耳に俺達の話が伝わってるぜ! | |
……あれだけギルド結成の初日にバカをやれば噂の一つや二つ流れるだろう。 | |
えーと、装備を整えに来たんですよね? | |
ああそうだ、とりあえず前衛の二人は盾と武器を、あと全員分の防具だが……。 | |
このリーフサンダルで良くね? AGI 増加のオマケ付きだ。 | |
そいつはいい。経験上、 AGI が高ければ敵に遅れを取る危険が低くなるはずですぜ。 | |
む、ユーロニモス、君は鞭を選ぶのか。 | |
おうよ、こっちの方がステキなスキルが揃っているっぽいからな。 | |
あっしは一応後衛なもんで、弓装備ってことでいいですかね。 | |
とりあえず全員分の装備は買い終わったな、それじゃ次は…… | |
あー待った。シリカちゃん、木彫りの髪飾りを一個くれ。 | |
? | |
リク、お前他の後衛より DEF が 1 少ないぜ。一応持っとけ。 | |
……まったく、お前に指摘されるとはな。 |
ヨハンのおっさんはこっちの方が好みだったりするんだろ? | |
ふむ、確かに私としてはこういった大人の女性の方が……いや待て、これはあくまで好みの傾向の話であって、断じて…… | |
何を一人でドツボってるんですかい、ヨハンの旦那。 | |
ここはまだ俺達が来ても仕方がなさそうだな。そろそろ樹海へ行くか。 |
そういやスキルの振り分けはどうする? 俺ら最初っから3ポイントほど持ってるぜ。 | |
スキルの取得条件を見る限り、俺はそれほど悩む必要は無いようだな。ひとまず雷の術式を習得しておこう。 | |
あたしはキュアを取りますね。これが無いと始まらないです。 | |
あっしは……まだ取る必要は無いですかね? | |
そうだな、まだしばらくは雑魚相手に普通に攻撃した方がいいだろうからな。私はひとまず、フロントガードとバックガードを取得しておこうか。レベル1では焼け石に水かもしれないがな。 | |
俺は割と悩ましいな。一番取り易いのはアナコンダだけど、基本的に毒ってあんまり大勢に影響を与えないんだよな。ヘッドボンデージからいっとくか。 | |
それでは、ミッションの遂行に移るとしよう。確か B1F の兵士に詳細を聞く段取りだったと思うが、あそこにいる奴か? |
この赤い点線の内部のマップを埋めろという事か。思っていたよりも探索範囲は狭いな。 | |
ところで、どの方角から探索しましょうか? | |
明らかに西の方が狭いな。こちらから探索しようと私は思うのだが、みんなの意見はどうだろう。 | |
あっしは別に構いやしませんぜ。 | |
最初にパパッと終わらせて勢いをつけるって意味じゃ、割といい線だと思うぜ。 | |
特に異論もないようだし、まずは西の方角だな。 |
それで記念すべき最初のモンスターだが、見た目の通り弱っちいので軽く蹴散らして終了だ。 | |
そういえば戦ったモンスターとかモンスターから手に入れたアイテムって、執政院に報告しておいた方がいいんですよね? | |
我々冒険者にはそうして樹海の生態系の調査をするという役割もあるからな。 | |
むしろこっちの方が自然かもしれないが、敵がお金を落とさないな。どうもアイテムを売り払うことが主要な資金調達の方法のようだ。 | |
いくらで売れるかでだいぶ厳しさが変わるように思えやすね。それとドロップ率の兼ね合いですかね。 | |
何にしろ、緊縮財政は覚悟した方が良さそうだ。 |
ぐあ、いきなりこの「ひっかきモグラ」が俺の HP を半分持っていきやがった! カタリナ、戦闘が終わったらでいいからキュアを頼む。 | |
了解! 今のところ 4 回しか使えないので気をつけてくださいね。 | |
いきなり厳しいな。予想以上に敵の攻撃力が高い。 | |
(……後衛の武具よりも回復アイテムに回すべきだったか?) | |
リク、どうした? | |
いや何でもない。先を急ごう。 |
ん? そこにあるのは何だ? |
ブーツか。この持ち主はここで倒れたのかな……。 | |
お、何かブーツの中に入ってるぜ。有難く頂いておこうぜ。 | |
旦那、あんまり人様の遺品を漁るのは流石にどうかと思いますぜ。 | |
いいんだよ、ここで誰にも知られず打ち捨てられてるよか、俺らが役立てた方が持ち主も報われるだろうよ。 | |
物は言いようだな。私としては決して嫌いな考えでは無いが。 | |
……おい、それよりどうもモンスターに囲まれたようだぞ。 |
ヤベー、さっきのモグラか! | |
私はフロントガードで凌いでみるが、どれだけ持つかはわからんぞ。 | |
そのヨハンの旦那が明らかにヤバい状態ですぜ。 | |
と、とりあえずヨハンさんにキュアを使っておきます。 | |
リク! | |
言われるまでもない、術式を叩き込んでやる。 |
ぐ、不覚……。 | |
おっさん! | |
うろたえるな、奴等も瀕死だ。どちらも俺とお前があと一撃入れれば倒せるが……。 | |
ユーロニモスの旦那に攻撃が集中しないことを祈る他ないですね。 | |
ったく、一体なんで初っ端からこんな目に会わなきゃならねんだ? |
一応勝ったが、ヨハン抜きでこのまま探索するのは無理だ。一端戻ろう。 | |
そうですね、施薬院で治療させてもらわないと。 |
どうもロストする心配はなさそうだな(……それでも治療費はこれからどんどん釣り上がるだろうが)。 | |
むむ、どうやらみんなには心配をかけたようだな。 | |
いや、気にすんな。ってかこいつは俺のヘマだ。 | |
あたしがリザレクションを習得できるのはまだまだ先のようですし、今後もここのお世話になる日が続きそうです。 | |
で、ヨハンの旦那も復帰したことですし、樹海の探索に戻りやすかい? | |
一応まだモンスターと一戦交える程度の余力はあるから、とりあえず戦って資金稼ぎってのは選択肢としてはありだな。 | |
そうだな、実際ちょっと金がいるんだ。とりあえず倒せるだけの敵を倒して、それから執政院に寄って、シリカ商店にアイテムを売ってこよう。それに流石にカタリナだけでは回復量が追いつかなそうだから、施薬院でメディカを購入する必要もある。 |
とりあえず限界まで戦ったのち……
報告するとモンスターのステータスが一覧になるのか。これは便利だ。 | |
ドロップするアイテムが「???」になってるのは、つまりまだドロップするアイテムがあるってことですかね。 | |
そうなると、このシンリンチョウはまだ二つもドロップアイテムがあるのか。 | |
ま、戦ってるうちに落とすだろ。 | |
何となくですけど、割とドロップ率は高いように思えますからねー。 | |
(どうもそれだけではなさそうだが……) | |
それよかみんなもう疲れただろ。探索の続きは午後ってことにして、一端宿で休もうぜ。 |
それで探索の続きだけど、今度は体力が残っているうちにより厄介そうな南東の方を進めたいと思う。 | |
大まかには内回りと外回りの経路があるな。どちらかというと内回りの経路の方が楽な予感はするが。 | |
あっしらのレベルを考えると、まずは内回りで行った方が良さそうに思えますな。 | |
それじゃ、まずは内回りの経路で探索するか。 |
ん? あの扉はなんだ? | |
一応探索を指示された範囲なんで、とりあえず行ってみるだけでも良さげですが。 | |
またあのモグラみたいなのがあると困りますし、それでもいいと思います。 | |
んー、あれから俺らのレベルも上がったし、モグラぐらいなら脱落者無しで乗りきれると思うぜ。 | |
そうだな、とりあえず調べてみるか。 |
まだこの先には行けそうもない、か。 | |
うーん、もしかして執政院の方達もこの先は知らないとか? | |
可能性は非常に高いな。 | |
ところでリク、お前何してんだ? | |
ああ、これか。 |
どうもこの地図にはメモ機能が備わっているようだからな、活用させてもらうことにした。本当に短いメモしか取れないので、限られたキーワードを自分で決めて、要所要所で使っていくのが一番良さそうだ。 | |
なるほどな。確かに扉のアイコンだけじゃワケわかんなくなりそうだな。 | |
なかなか頭が回るじゃないか。感心するよ。 | |
だろ? こいつは昔からいろいろ頭が回ってよ、例えば…… | |
いや、昔の事はもうどうでもいいだろ。そもそも俺達は故郷を出奔したも同然だろ。 | |
な、なんかお二方とも複雑な事情がお有りのようで。 | |
えーと、あっちに何か見えますよー。ちょっと行ってみましょう。 |
ふーむ、どうもここではアイテムが取れるようだな。 | |
伐採のスキルが必要だが、持っているのは確か…… | |
あ、あたしですー。 | |
それと俺だな。カタリナはできるだけ回復スキルに回した方がいいだろうから、俺が取ることにするよ。術式の威力を見る限り、しばらくはレベル1で問題なさそうだ。 | |
そうなると、あっしらもアイテム採集スキルは取っておいた方が良いですかね? | |
資金繰りの問題を考えると、取っておくに越したことはないと思うのだがどうだろう。採掘ができるのは私だけなので、残るは採取だが。 | |
それじゃ、あっしが。 | |
これで全種類のアイテム採集スキルが揃ったか。ところでユーロニモスの奴はどうした? | |
おーいみんな、こっちに来てくれ。何か抜け道があるぞ。 |
……俺が目を離してる隙に何をやっている。 | |
まあまあ、抜け道を見つけたのは GJ ですよ。 | |
ふむ。これは他の階にも同様の抜け道がある可能性を考えた方が良さそうだな。 | |
しかしそれは結構面倒な話じゃありませんかねぇ。 | |
俺は元より樹海のマップを完全にしようと思っていたところだ、大勢に影響は無い。 | |
こいつは几帳面なこって。 | |
ハハッ、お前らしいや。さて、探索の続きといこうぜ。 |
ぐあ。このカニ野郎、えらいこと攻撃力が高い上に攻撃が全然通らねえ! | |
あのー、一応はさみカブトという名前のようですよー。 | |
いや、カニだろうこれは。 | |
どちらにしろ甲殻類だろう。流石に術式なら倒せるはずだ、お前は死なないように守りを固めていろ。 | |
しかしまた消耗してきたな。一旦宿に戻ることを提案したい。 | |
賛成ですー。 | |
あっしはまだまだ戦えやすが、他の方はねぇ。 | |
それでは続きは明朝より開始だな。流石に明日でこのミッションも終わるだろう。 |
残るは南東から南西へのルートの先と最南東のルートか。 | |
例のカブトが出現するのは恐らく南東〜南西ルートが中心だろう。俺が術式を撃てる間に片付けたい。 | |
そうですねー。私のキュアもまだまだ使える回数が少ないですし。 | |
(しかし思っていたよりも厳しい……これは少し読み違えたか?) |
あ! あそこにアイテムポイントが見えます! | |
おー、ホントだ。ここは何か休憩するのにもってこいなロケーションですぜ。 | |
そうだなー。やっぱこういうところが一ヶ所ぐらいはないとな。 | |
待て、猛烈に嫌な予感がする。 | |
ふむ、前のモグラの事もあるからな。 | |
でも昨日の探索では、別にモンスターの襲ってこないところもあったしな。それにモグラぐらい、今の俺達ならなんとかなんだろ。 | |
……そうこうしているうちに囲まれたぞ。 |
うわ、なんだこいつら。 | |
毒吹きアゲハか。名前からしてヤバそうだ、総攻撃で一気に殲滅しよう。 |
やはり毒を持っていたか。 | |
だ、大丈夫か? | |
俺は大丈夫だ、それにこのターンで俺に攻撃が飛ばなければそれで終わりだ。 | |
でも、今後もこんなのが出てくるとちょっとマズいです。 | |
このフロア南東がまだ未探索だが、まさかそこにこいつらが巣食っていたりはしないだろうな。 | |
……いや、流石にそれはないと思う。樹海の生態系を考えると、こいつらは例外だろう。それに毒は持続性ではないらしく、戦闘が終われば勝手に治るようだ。戦闘自体を迅速に終わらせれば大した脅威ではない。さあ、残ったルートを探索してしまおう。 |
その後……
何だかんだと結構な時間がかかってしまったな。 | |
まだ経験が浅い以上、それは仕方がないだろう。あまり気にしすぎるのは良くない。 | |
そうだぜ。大体あんまり完璧主義者ってのもなー。 | |
それよか「冒険者に必要な品物」とやらが買えるようですぜ。シリカ商店に行きやしょう。 |
まったくその通りだぜ。大体規則だ何だとうるせーんだよ役人どもは。 | |
いやだがな、最低限の能力も持たぬ馬の骨が樹海で野垂れ死に放題というのはまずかろう。 | |
でもこのアリアドネの糸でだいぶ探索が楽になりやすね。「行きはよいよい帰りは怖い」ってなもんで。 | |
そういえば酒場のお姉さんも、執政院の試練を終えたら仕事を頼めるとか言ってましたよねー。行ってみましょうよ。 | |
そうだな、ちょうどおっさんも顔を出したいと思っていそうだしな? | |
いや、そうやってからかうんじゃないと何度言えばわかるのだ。 |
えーと、つまりは執政院じゃ面倒見切れない仕事の行き着く先がここって理解で OK ですかい? | |
そう思って間違いなさそうだな。 | |
どうします? あたしはここの依頼もやっておいた方がいいと思うんですけど。 | |
私も賛成だな。執政院で捌ききれない以上、我ら冒険者がやらねばなるまい。 | |
ですよねー。ここはあたしらが一肌脱いであげないと! | |
お、シリカちゃんからの依頼もあるじゃん。俺も賛同しとくぜ。 | |
(……あまり寄り道をしたくはないのだが、さてどうするか) | |
リク、どうした? | |
あ、いや何でもない。さあ、次のフロアへ行こう。ここからが本番だ。 |
……というわけで、最初のミッションで早くも大変な目にあったってわけさ。 | |
だから話をもう少し簡略化してくれと。 | |
いや、最初のミッションって特に思い出深くてさ。 | |
でも話を聞く限り、むしろギルドの中心はリクさんの方に思えるんです。確かそのギルドを率いていたのはユーロニモスさんのはずじゃ? | |
……むしろそのリクという人におんぶ抱っこな印象ね。 | |
そもそも大変な目になった理由って結構ユーロニモスのせいじゃん。 | |
いやまあ、その辺の話もおいおいな。 |
ユーロニモス | レベル3 |
リク | レベル3 |
ヨハン | レベル3 |
カタリナ | レベル3 |
アポロ | レベル3 |