![]() | そういえば、ユーロニモスさんのエトリアでの話って詳しく聞いたこと無いですよね。 |
![]() | 断片的な事はちょこちょこと聞かされたけど、確かに詳しい話は全然聞いたこと無いねー。 |
![]() | あー、言われてみりゃ俺も話した覚えが無い。でもお前らそんなことに興味あるか? |
![]() | 私はあるな。どうすればあんな無茶な作戦を実行できるようになったのか、その経緯が知りたい。 |
![]() | ……同じく。 |
![]() | 何かもの凄い黒歴史が隠れていそうで興味津々だよー。 |
![]() | ぬー、話すと長くなるからなー……マジで聞きたい? |
![]() | そもそも僕達はあなたの作戦で何度も大変な目にあってきたので、その無茶苦茶なスタイルが定着するに至った理由を知る権利があります。 |
![]() | 言うようになったじゃねえか。それじゃ、ちと長くなるけど覚悟しとけよ。 |
ありゃあ何年前だったかな、俺は冒険者として成功しようとして、幼馴染みというか腐れ縁のアルケミストとエトリアに旅立ったんだ……

![]() | ようやく街に着いたぜ。ったく、俺達の故郷並に辺鄙だぜここは。とりあえず宿で休まねーか? |
![]() | いや、休んでる暇は無いだろう。俺達は観光しに来たのではなく、冒険しに来たんだからな。まずは冒険者ギルドに向かおう。 |
![]() | 相変わらず真面目っつーかなんつーか……まあいいか、そんじゃ冒険者ギルドに行くか。 |
![]() | ところでお前はもうどんなパーティを組むか決めているのか? |
![]() | いや、まだだ。 |
![]() | あまり冒険者ギルドでああだこうだと言い争って迷惑をかけるのは気が引けるし、先に決めてしまおう。 |
![]() | それもそうだなー。じゃあまず言い出しっぺの法則という奴でお前からアイディアを出してくれよ。 |
![]() | そうだな、まずはパラディンは必要だろう。何しろ俺達は二人揃ってタフネスに問題があるんだ、壁役無しでは厳しい戦いになりそうだ。 |
![]() | なるほどなー。あと常識的に考えればメディックも必要じゃね? 俺は嫌だぜ、大量に薬品を持ち歩くのは。 |
![]() | お前の口から常識なんて言葉が出てくるとは思ってもいなかったが、確かにメディックはいた方が良さそうだ。ここまではお互い異論なしだが、あと一人が悩みどころだな。探索を有利に進められそうなレンジャーか、あるいはアタッカー強化の意味でソードマンか……。 |
![]() | ありゃ、このバードって職業は何だ? |
![]() | ああ、そいつは吟遊詩人とでも言った方がわかりやすいだろうな。パーティ全体の強化を行えるらしいが、詳しいことは俺にもわからない。 |
![]() | 面白そうじゃねえか、残り一人はバードにしようぜ。 |
![]() | 俺はもう少し直接的な戦力を増やしたいのだが……まあお前の案に乗ってやるよ。 |
![]() | サンクス。それじゃ、冒険者ギルドに行こうぜ。 |


![]() | このおっさんがここの元締めか? 一応俺達を歓迎してくれてはいるみたいだな。 |
![]() | それよりもギルド名を書けと言われているがどうするんだ。急に言われてもちょっと困るというのが本音だが。 |
![]() | ああそれなら俺達にうってつけの名前があるから安心しろ。 |
![]() | 本当か? それはなんていう名前なんだ。 |
![]() | こいつは他のメンバーが集まってから大々的に発表させてくれ。って事で今から台帳に書き込むけど、お前覗き見たりすんなよ? |
![]() | (……まったくガキじゃあるまいし) |
![]() | それじゃあ早速他のメンバーを探すとするか。まだギルドに入れていない冒険者なんざそこらにいるだろうから、手分けして探そうぜ。とりあえず俺はお前のオススメ職業のパラディンを探してくる。 |
![]() | それなら俺は残りのメディックとバードを探してくるとするか。見つかったらまたここで落ち合おう。 |
しばらくして……
![]() | (あいつ、パラディン一人探すのにどんだけ時間かかってるんだ?) |
![]() | 相棒の人遅いですねー。 |
![]() | パラディンはメディックと並んで人気って話ですぜ。それにあっしらバードみたいな根っからの根無し草揃いと違って、割と一つのパーティに居ついてそこの中心人物になるとかならないとか。 |
![]() | アタシはたまたまここに来たばかりだったんですけど、同じく新人のパラディンがいなかったらちょっと面倒そうですね。 |
![]() | しかしこれだけ冒険者が集まっていれば、フリーな奴の一人や二人見つからないわけがないと思うが。しかしさっきからあっちの方が騒がしいが、まさかあいつ…… |
![]() | 悪い、遅れた! こちらが俺達のギルドに加入してくれることになったヨハン先生だ。 |
![]() | よろしく頼む。 |
![]() | こちらこそよろしく。それではギルド発足ということで、みんな自己紹介をしようか。俺はリク。職業はアルケミストだ。 |
![]() | 俺はユーロニモス、ダークハンターだ。 |
![]() | バードのアポロってんで。 |
![]() | カタリナといいます。一応メディックです。 |
![]() | 先に紹介された通り、パラディンのヨハンだ。 |
![]() | これでようやくメンバーが揃ったか。 |
![]() | しかしなんだ、リクといったかな。君の友人はなんというかこう、非常に情熱的というか、向こう見ずというか、いや実に活気溢れる若者だな。 |
![]() | ……ユーロニモス、お前何やった? 怒らないから正直に言え。 |
![]() | いや、他のギルドの連中がヨハンを勧誘しようとしていてよ、しょうがねえからこう、由緒正しい五体投地土下座でもって頼み込んだわけさ。そしたら他のギルドの連中がドン引きして帰ったってわけよ。 |
![]() | ……後で便所にこい。久しぶりに鉄拳制裁だ。 |
![]() | 何だよ、怒らないっていったじゃねえかよ! |
![]() | 怒ってはいない、呆れただけだ! お前、そんなことをして恥ずかしいとは思わないのか? それにこれじゃヨハンを勧誘したというよりも、他のギルドに参加するのを気まずくさせて俺たち以外の選択肢を消しただけにしか思えない! |
![]() | やっぱ怒ってるじゃねえか。ってかこれから一緒に冒険するわけじゃん? 寝食を共にするわけじゃん? この程度の事を恥ずかしがってちゃダメだと思うぜ。 |
![]() | あのな、ずっと昔から思っていたがお前の神経は図太すぎだ。大体、さっきから周囲の連中が俺達を指さして笑っているのがわからないのか。 |
![]() | 笑いたい奴には笑わせとけ。俺達はこの迷宮を制覇してその名を轟かせるんだからな。そんときゃ笑えるエピソードの一つもあった方がいいってもんだろ。 |
![]() | ヒュー、迷宮の制覇! いいねえ、ロマンがあるねえ! なかなか粋じゃねえか、ユーロニモスの旦那は。 |
![]() | そうだな、志は高いに越したことはない(……でも大丈夫かこのギルド)。 |
![]() | あのー、ところでこのギルドの名前って何なんですか? まだ聞いていないんですけど。 |
![]() | そうだ、確かメンバーが揃ってから発表といっていたな。それで一体何という名前にしたんだ? |
![]() | 「ディーサイド」 |
![]() | ……。 |
![]() | 強そうな名前だろ? |
![]() | 神殺しか……政治的に危険な名前だな。 |
![]() | (ドン引き) |
![]() | さ、さすがのあっしも引きますぜ旦那。 |
![]() | やっぱお前あとで便所にこい。少しキツめに灸をすえる必要がありそうだ。 |
![]() | 待て待て待て、これは俺にネーミングを任せたお前にも責任の一端がある。 |
![]() | とりあえず他のみんなには、こいつがやらかしそうな事全般についてあらかじめ謝っておく。 |
![]() | あーもー、とにかく迷宮に行くぞ! |
![]() | 待てバカ、迷宮に行く前にだな…… |
![]() | ……というわけで、俺達はエトリアの樹海へ旅立ったわけさ。 |
![]() | ……あなたって人は。 |
![]() | 三つ子の魂百までとはいうが、少なくともその破綻気味の性格はその頃からか。 |
![]() | うん、なんていうかある意味安心した。 |
![]() | ……そうね、人間そんなに簡単に変われるものでもないでしょうし。 |
![]() | ハッハッハ、お前ら相変わらず言うことがキツいぜ。とりあえず今日のところはここまで。続きはまた今度な。 |