まともなゲーマーであれば、恐らく今週発売されたゲームではゼルダの伝説が鉄板なのだろうが、俺はまともであるという自信がないのでコロぱたを買ってきた。自律的に動くキャラが目的地に到達したりするのをサポートするというゲームなのだが、想像以上に凄い。何が凄いって、難しさが凄い。これは百聞は一見に如かずなので、是非ともプレイ動画を見てもらいたい。
これは最序盤の難所である8面なのだが、このステージは投げた鉄球がバケツに入るとクリアとなる。当然飛距離が足りないので、初期配置+プレイヤーの配置する三つの磁石で距離を稼ぐことになる。上記の動画は成功例なので、次に失敗例を見てもらいたい。
最左の磁石を1グリッドだけずらしたらこうなった。いいか、1グリッドだぞ、磁石一個分とか人間1キャラ分じゃなくて、1グリッドだ。このゲームはとにかく1グリッドのずれが生死を分けるステージばかりで、それも個々のオブジェクトに適用される演算の関係上、その1グリッドのずれ(=僅かな初期状態のぶれ)が思わぬ結果をもたらすというカオス極まりない調整がなされている。
そのためステージクリアまでには
という過程を繰り返すことになるのだが、これが本当に大変だ。
こちらは別の失敗例だが、この時は「一旦上方向に引き上げてから下に設置した磁石で落として加速度をつけ、最後の磁石の磁力をギリギリ振り切らせて落とす」というアプローチでやった。結果としてちゃんとブロック塀を越えてバケツのところに落ちるまでは到達したのだが、残念な事にバケツのへりに引っかかってクリアならず。これの調整に一体何十分かけたことやら。最終的にこのステージには一時間ぐらいかかったと思う。
というわけでこのゲームは児童向けのデザインがされてるわりにゲーム自体の難度調整はもの凄いハードコアな方向に振り切れており、これはマジで投げる奴が続出しそうだ。特に難度を上昇させているのがトライアンドエラーをひたすら繰り返すところで、多分このゲームはステージごとに正解とされるパラメータの幅がそれほど広くない。というかプレイヤーが調整できるパラメータの幅に対して正解の幅がかなり狭く、対してステージクリアのためのアプローチの幅は全体的にほどほどの広さといった具合か。
これは前まで遊んでいた Scribblenauts とはまるで逆で、あっちはアプローチの幅を広く取った代わりにパラメータ調整の部分は割とアバウトでいけるゲームだった。つまり、発想勝負 vs 調整勝負みたいな構図だ。このゲームにも発想勝負のステージがあるにはあるが、それよりも調整勝負の色がずっと強い。
ぶっちゃけていえばこのゲームが気に入るの人種って、プログラマで言うとプロファイル結果と延々睨めっこしてパフォーマンスチューニングするのが全然苦じゃない部類だと思うんだ。俺は今の仕事で必要になったというのもあるけど、既存のパーサジェネレータを使わずに自前のパーサライブラリを書いて、それのパフォーマンスチューニングを徹夜でやって「元のパーサジェネレータの4倍速いぜヒャッハー!」とかそんな事をしてるので、まあ結構気に入った。
俺はこういうプレイヤーに真っ正面から勝負を挑むストロングスタイルのゲームには是非とも売れて欲しいと思うのだが、いくらなんでもこれはハード過ぎるだろうという気もする。あとどうもこれ結構マイナーくさいので、攻略情報とかはあんまり期待しない方が良さげだ。買うなら覚悟すること。
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