「Wizardry 生命の楔(以下、生命の楔)」を表ボスまでクリアしたので感想を書く。遊び終えた感想としては、ぶっちゃけこれは「JRPG 風ダンジョン RPG」。
まずこの生命の楔は基本的に作りは丁寧で、また工夫されたシステムにはなっている。特に序盤のチュートリアルの親切さ加減はダンジョン RPG 初心者にも安心な作りで、シナリオキャラの初期レベルが多少あることから最初は戦闘もキツくなく、序盤のレベルデザインとしては割といいとは思う。戦闘システムもスキルと呪文の連携を入れたり、特定条件で戦闘後の宝箱が高品質になるミッションバトルなど、長丁場の探索に彩りを加える仕組みになっている。
ダンジョンの仕掛けもなかなかやりごたえがある。オートマッピングで形骸化したと思われる回転床トラップを他のトラップ(飛来する火の玉とか)に引っ掛けるための足止めに使ったり、松明を掲げられるダークゾーンに何の意味があるんじゃと思わせておいて「ダークゾーン + 針山」のようなトラップを仕掛けるなど、漫然と作ったわけじゃない事がよく分かる。
なのだが、
とまあ、個々の要素は悪くないどころかいいものもあったりするのだが、組み合わさった結果がなんとも違和感のある代物で、これが気になり出すと実に気になる。決してクソゲーではないし、ダンジョン RPG の入門編としては割といいと思う。
で、こっから先は完全に俺の憶測というか殆ど陰謀論のような話なので話半分にすら聞かなくていいんだけど、これ元々はオリジナルのダンジョン RPG だったんじゃねえの?
いや、本当にこれは憶測でしかないんだけど、 JRPG 的なストーリー主導の展開とかどう考えてもオリジナルの企画があったとしか思えない。そんなことして Wiz の名前で売ったら、間違いなく古参ユーザーの逆鱗に触れるだろうに。
あと俺が先に挙げたナンダカナーと思ったポイントは
というステップを踏むと、リアルタイムダンジョンとターン制バトルの食い合わせの悪さ以外のいろんな問題が解決しそうな気がする。というかそれも「あと何ターンでゴーレムに捕まる」とか「数ターンすると飛来した火の玉が戦闘中に炸裂」という手段で回避できるだろうしなあ。
完全に陰謀論の世界に入らせてもらうと、これ元々あったダンジョン RPG の企画にどこぞの版権ゴロが関わっちゃったせいで Wizardry Renaissance に組み込まれる事になって、それでいろいろゴタゴタがあって未調整な部分ができちゃったんじゃないの? いや、そう考えると
などといった他の造り込みを感じる部分とえらいことギャップを感じる部分が「摺り合わせとリスケジュールの余裕がなかった」ということで俺は多いに納得できるんだが。
Wizardry Renaissance は PS3 でもダウンロード販売専用のタイトルを展開してるらしく、俺は PS3 持ってないのでそっちがどうなってるかわからないが、同じ企画の下の関連商品のくせして全然関連性の感じられない代物になっていたとしたら、この憶測がビンゴの可能性の目が出てきてしまうのだが実際のところどうなんだろう。
で、結局生命の楔は面白かったのかと聞かれると、いや決して物は悪くないよ? ただなんというか、宣伝にあるような「原点回帰」みたいな煽り文句は完全に嘘っぱちで、さらにゲーム本編も気になり出したら気になってしょうがない瑕疵があるというか。その辺があんまり気にならなそうなら、なかなか遊びごたえのある佳作だとは思う。
あとクリア後ダンジョンの見てくれが世界樹Iの第6階層それと酷似してるんだが、あれはいいのか?
この怪文書はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの元でライセンスされています。引用した文章など Kuwata Chikara に著作権のないものについては、それらの著作権保持者に帰属します。