既に海外では「天才的」「忘れられないゲーム」「(新たなゲームジャンルの)起源」と大変な絶賛を浴びているのがこの Scribblenauts だ。開発元はドローン・トゥ・ライフやロックス・クエストを手がけた 5th Cell で、ロックス・クエストが良作だっただけにこれにもかなり期待していたのだが、その期待を遥に上回るものだった。とりあえず Challenge の Level 1 をクリアしたのでファーストインプレッションを兼ねてこのゲームの紹介をしてみる。
ゲームの流れは大きく分けて二つ。一方は最初に出たヒントに従い、ステージ中の人物にアイテムを渡したりオブジェクトを移動/破壊し、条件を満たすとクリアアイテム(Starite)入手となる Puzzle モード。これはその Puzzle の最初のステージで、手持ち無沙汰な四人のうち二人に何かしらふさわしいアイテムを渡すとクリアとなる。
普通のゲームならステージ内を探し回ってアイテムを見つけるとなるところだが、信じがたいことに Scribblenauts ではソフトウェアキーボード or 手書き入力で英単語/熟語を入力するとそれが実際のオブジェクトとして画面内に出現し、それを用いてステージをクリアしていく。例えばこのステージだと……
常識的に考えればこの場に足りないのはゾンビ(Zombie)だと思うので、試しにゾンビを呼び出してみる。
おい、本当に出てきたぞ。
ギャース、ゾンビが他のキャラを襲って感染した!
当然、ミッション失敗。一事が万事こんな調子で、各ステージ毎に攻略手段が無数に存在するだけでなく、ゲームオーバーの仕方も無数に存在する。何でもこのゲームで使えるオブジェクトは 20,000 種類以上だとか、オブジェクトと単語のデータベースを半年かけて作り込んだとか、とにかく作り込みが半端ない。
というわけで今度は真面目にやってみる。ゾンビは人を襲うから危険なので、ほんのジョークとして核兵器を出してみよう。
って出した途端に消防士の野郎が核兵器を危険物とみなして解体しようとしやがった……ってオイ、お前何やってんだ、お前の仕事は違うだろ。消防士は核兵器の解体とかしねえだろ。第一その核兵器を作動させるのは俺の役目だろ。
これはひどい。というわけで、思わぬオブジェクト間の相互作用で驚愕の展開が待ち受けていることも多々あるのが Scribblenauts の魅力だ。
いい加減本当に真面目にやると、例えば警察官には手錠(Handcuff)を渡して、シェフにはフライパン(Pan)を渡す。すると
見事クリア。こうやってヒントに従って適切なオブジェクトを出現させ、それでステージを解いていくわけだ。
また Puzzle の他に Action と呼ばれるステージもある。こちらはクリアのためのアイテムの場所が最初に提示され、そのアイテムをどうにかして手に入れればクリアだ。こちらはよりアクションパズル寄りなゲームになってる。
このステージはとにかく Starite を手に入れればいいのだが、木に引っかかっているのでやはり何かしらのオブジェクトを出して手に入れなければいけない。写真ではブーメラン(Boomerang)を投げつけて落としているが、他にも
など解き方は山ほどある。
最後に俺が見つけたときに大爆笑した解き方を紹介しよう。
これは Puzzle の 1-8。公園のゴミを片付け、ハエを退治すればクリアとなる。普通にやるならゴミを全部ゴミ箱に突っ込んで、適当なアイテムでハエを叩き殺せばいいのだが、実はこのステージ、ゴミを全部叩き壊してハエを退治してもクリアとなる。ということはだな。
核兵器の出番だ。クリア条件達成時に Starite が出現する位置は常に同じなので、その出現位置で待ち構えつつ。核兵器を近くにセットする。あとは核兵器をタッチして作動させて、
爆発の時を待つのみ。
やっぱりダメに見えるかもしれないが……
きっちり Starite を手にして死んでいる。自分でやっといてなんだが、核兵器使ってスピードクリアができるとは思わなかった。一体どうなってるんだ、このゲームは。
というわけで、何かもう今年の俺的ベストゲームは早くも Scribblenauts に決定した感がある。これまでも複数の解き方が用意されているゲームというのはそれこそ無数に作られてきたが、ここまで与えられたミッションをプレイヤーが自由に解いていいゲームというのは存在しただろうか。ぶっちゃけ普通のゲームって算数の問題で言うと「X+1=10 のとき X の値は何」というもので、それが Scribblenauts だと「X+Y=10 になるように好きな X と Y を当てはめなさい」になったような印象だ。
こういう挑戦的なゲームには是非とも売れてほしいので皆買えよといいたいのだが、いかんせんこれ日本語にローカライズされてないし、そもそもゲームをクリアするのに英語の語彙が必要になるという、ゲームデザインの時点でハードルが高い代物なんだよな。そこが残念だ。
それにしてもここまで「その手があったか!」「それやるか普通?」「正気か開発者」と衝撃を受けたゲームは本当に久しぶりだ。こういうゲームを遊ぶとまだまだゲームのネタは切れてないじゃんと思えるな。
追記:なんかやたらアクセスあるなと思ってたら、はてブでホットエントリに入ってた。それははあどうでもいいんだが、
fukken game カオス館行ってみるか。DSi以降はリージョンコントロールされてるから残念でした
Scribblenauts は DSi 専用じゃないんでリージョンコードは設定されてないよ。リージョンコードが設定されるのは DSi 専用ソフトと DSi ウェアのみ。
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