Diary?

2009-07-16
Thu

(00:26)

twitter に書いた内容のまとめになっちゃうけど、 "Writing software is an art" という文について。俺はこの文自体は違和感無く読めるけど、これが日本語に訳されると違和感を感じることが多い。多くの場合この文は「ソフトウェアを書くことは芸術である」と訳されるけど、これに対してちと違和感を感じる。

というのも日本語で芸術と言ってしまった場合、まず絵画や音楽などの美術が念頭に置かれてしまい、そこから感じ取ることのできるニュアンスというのは才能・美意識・ひらめきなどだけで、原語の art の持つニュアンスは失われていると思うからだ。俺は間違ってもネイティブじゃないしそんなに英語が得意でもないので、ネイティブの連中が本当にどう感じているかは知らない。でも Oxford Practical English Dictionary で "art" を調べると以下の順で意味が出てくる。

  1. the producing of beautiful thigs such as paintings, drawings, etc.
  2. a skill or sth that requires skill: There's an art to writing a good letter
  3. activities such as painting, writing literature or writing and performing music.
  4. subjects such as history or languages that you study at a school, college or university.

2番目に "skill" という言葉が出てくること、例文として文章を書く能力が出されていること、また4番目とはいえ人文科学の学問分野が引き合いに出されていることから、英語の "art" はもっと人文科学などの学術・技術のニュアンスを持っているはずで、日本語の「芸術」のようにそれらのニュアンスと切り離された言葉ではないと思う。そもそも liberal art って言葉があるんだから、芸術の事だけを指し示す言葉のはず無いのに。

これとはまたちょっと違うけど、 "literate programming" が「文芸的プログラミング」になるのは違和感があるというか訳しすぎというか、これまた変といえる(これはときどきの雑記帖の中の人は前から問題意識を持っていた)。で、同じように "literate" を Oxford Practical English Dictionary で調べると

  1. able to read and write
  2. well-educated

とある。これが「文芸」になるのは literacy という言葉との整合性を考えてもおかしい。

なので俺はいっそのこと "literate programming" は「教養あるプログラミング」としてしまい、プログラミングやソフトウェア開発の文脈では "art" は学問としてしまった方が、今までのように「文芸」「芸術」などとするよりはナンボかマシだと思う。

追記:「art は技芸とする例もある」との意見をもらった。なんかそっちの方が良さそう。

(20:23)

昨日は昼と晩が回鍋肉で、今日の昼もその残り物としつこいものが続いたので、今日の晩ご飯はあっさりめに洋風湯豆腐。作り方は単純。豆腐、キャベツ、玉ねぎ、ベーコンを鶏ガラスープで煮込んで醤油や塩コショウで味を整えるだけ。まったく手間がかからない、洗い物も少ない、その割に旨いと大変便利な一品。

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