Diary?

2009-05-09
Sat

(23:55)

告知:第一回「層・圏・トポス  現代的集合像を求めて」勉強会」に行ってきた。「ピクニックにいこうぜ。雪山でロッククライミング」という極めてワイルドなスローガンの元に行われた勉強会だったが、開始時刻が13:30で終了時刻が大体20:15ぐらい、おおよそ2〜3時間に一回の休憩があったとはいえ7時間弱の間にわたって圏論漬けという本当にワイルドな進行だった。

そもそも「『第2章 圏』から始めよう」というのは決まっていたものの、どこまでやるかは19:30ぐらいに「定理5まで終わらせて次回から関手」という意見が出るまで決まっておらず、下手すりゃ参加者全員の心が折れた時点で終了の無制限デスマッチになるところだった。だって誰も止めようとしなかったし。

流石にそんだけの長丁場の総括的レポートを書く気はないというかいい加減疲れてるので、とりあえず勉強会で発見された興味深いものを一個。ある圏に対象 A, B, C が与えられ、

    f1
  ------>   m
C        A ----> B
  ------>
    f2

となる射 f1, f2, m に対して m°f1 = m°f2 ならば f1 = f2 が成立するとき、この m は mono と定義される。それで檜山セミナーで例に出されたしりとりの圏の射は mono になってるんじゃないかという意見が出て、実際に考えてみたらどうやらそうだという事が判明した。

ここでさらに一つ定義を加える。ある圏において対象 A, B が与えられ、

    f
  ---->
A       B
  <----
    g

となる射 f, g において g°f と f°g がそれぞれ A, B に対する恒等射となる場合、この A, B はその圏の中で同等とされる。しりとりの圏の場合は恒等射は一文字だけの文字列なので、いかなる文字もしりとりの圏の中で同等とはみなされない。

これが集合論となると、全単射が存在する二つの集合は同等とみなすことができ、しりとりを一点集合同士の写像とすればあらゆる写像は単射かつ全射=全単射であり、集合論的にはしりとりの各文字は同等となるのだという。これは集合論と圏論では物の見方が違うということのいい例だと思う。

最初は「親しみやすかろう」という理由で導入されたはずのしりとりの圏が、真面目に考えていくと結構深い話題になっていくのにはあらためてびっくりだ。ってか圏論って本当に興味深い分野だな。

そういや今回の勉強会はかなり順調に進んだっぽいけど、次回以降どうなるかは不明というか、次回はどこまで進められるかな。

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