Diary?

2008-08-24
Sun

(15:29)

これは結構同意だなあ。「先生にいい風に評価される絵の描き方」なんてどうでもいいけど、もっと基本的なレベルの技術や理屈をちゃんと教えた方が、最終的に自由に伸び伸びできるようになると思うぞ。

俺がやってるのは絵じゃなくて音楽だけど、こっちも学校での教育はガタガタだったなあ。テクニックとか理論めいたことって、もっと学校で教えても良いと思うぞ。ってか「理論ばかりじゃ感性が阻害される」とか言ってる連中は白痴じゃねえのか? 理論を学んだ程度で潰れる感性なんざ、所詮その程度だっつーの。というか感性を活かすにはむしろ理論って重要だと思うぜ。

俺は社会人になってからギターを始めたんだけど、それで日本でドレミファソラシを音名に使ってるのが割と間違いだった知った時は驚いた。移動ドで表記する場合、絶対的な音の高さは CDEF.. で表記してドレミファの方は相対的な音の高さの表記に使うんだよな。つまり CDEFGAB の C アイオニアン(メジャー)スケールも、 ABCDEFG の A エオリアン(マイナー)スケールも、どっちも第一音を「ド」として扱うってわけ。間違えた C メジャーも A メジャーもドレミファソラシで扱うのが移動ドだ。今まで書いていたのは間違い。俺はこういうことを学校で習った覚えが全然無いんだけど、一体この国の音楽教育はどうなってるんだ? クラシック聴かせて鍵盤ハーモニカとリコーダーだけ与えて、それで理屈もわからず演奏させて一体どうしたいんだろうなあ。せめて運指のこつとかパターンぐらい教えようぜ。あと数学や理科の好きな奴にはメジャースケールには構成する音が同じ対応するマイナースケールがあるとか、民謡で使われる音階はクラシックの音階から音を抜いた結果だとか、そういう仕組み的な事を教えると間違いなく喜ばれるぜ。そういう楽しみ方を増やすためにも、いわゆる理系教育は重要だってわけだ。

24 年ほど生きてきて痛感したのは、どうもこの国はバカを有り難がる国だということだ。これは芸術科目に限った話じゃないけど、とにかく理論と実践が完全に二律背反で、どっちもできるようになろうという発想が全然無い。むしろ理論的な事を知っていると「頭でっかち」と揶揄される始末だ。俺がヘタクソながらもギターやベースを弾いて曲をアップできてる理由って、理論的なところからどうやって運指パターンやフレーズを作ったりすりゃいいか計算してる部分が大きいんだけどなあ。

そりゃあ歴史に残るような名演や名曲を残せる連中はそういった感性も鋭いんだろうけど、じゃあそういう上澄み連中だけにしか音楽や絵画が許されていないって、それどんだけ貧相な世界なんだよ。俺みたいなヘタレが何かしら演奏したり作曲したりするには、どうしても理論を知っておく必要があるんだっての。そもそも俺のような下手の横好きが一定数以上いないと、楽器店とかが潰れちまうだろ。

あと昼の仕事をして稼いだ金を趣味に突っ込むという生き方もこの国には存在しないっぽくて、俺はその一点だけでも日本は先進国の皮をかぶった後進国だと断言するね。俺がプログラム書かないで音楽やってんのは普通に考えりゃ無駄以外の何物でもないけど、豊かさってのはどんだけの無駄を許容できるかで決定されるんだよ、ヴォケ。

あと好きこそものの上手なれとかいうけど、その「好き」にはいろいろと段階があるんだよ、そもそもの話として。最初は単なるミーハー的な「好き」だったのが、実際に自分でできるようになってもっと「好き」になるわけだろ。学校の芸術教育ってのは「ミーハー的に好き」の段階にあるかどうかも怪しいガキどもに感性とか個性とかの口当たりのいいお題目を押し付けて、それで芸術嫌いを生み出してるんだよ。ガキというか人間なんて単純だから、ある程度「できる」ことを嫌いになるなんて滅多に無いんだよ。

いい加減、「感性」と「根性」と「空気」だけで構成された教育は終わりにしないか。ついでに書いとくと、うちの会社にやってくる未経験プログラマ志望のうち、明らかに覚えの悪い奴はどうにもこの「感性」と「根性」と「空気」に毒されているように思える。まずは「理」を学べ、「理」を。この「理」を学ぶことの面白さってのは初等教育の極めて重要な要素だと思うんだが、今はどうなってんだろ。改善してりゃそれでいいんだけど。

(18:32)

極めて大雑把にうちの会社の仕事のとり方を書いてしまうと、以下の三つになる。

  • ピンハネ業者から仕事をもらって相手先に常駐して開発(実は一番多い。俺はそっちには回されてないけど)
  • 一時請けの SIer から仕事をもらって相手先に常駐して開発(俺のいる部門が主にやってる)
  • 一時請けの SIer から仕事をもらって自社で開発(あんまりない。というか最近になってやるようになった)

最初の奴は論外として、目指すべきは最後の奴、自社持ち帰りだ。これはセキュリティとかいろいろうっせーのがあって大変だけど、下請けのソフトウェアハウスが利益を最適化するのにうってつけだ。なぜなら、客先常駐だと送り込んだ人数分しか金が取れないが、自社持ち帰りの場合必然的に向こうもこっちの細部を監視できないので、頭数の自由が効くのだ。それはもう、笑えるぐらいに効く。

例えば「10 人月の作業を 2 ヶ月で」などという契約であれば、普通の客先常駐ならまず5人送って 2 ヶ月拘束という事になる。それに対して自社持ち帰りの場合、できる奴 5 人が 1 ヶ月で終了させれば、時間対利益でみれば客先常駐の場合の 2 倍の利益になる。あるいは、 2 ヶ月かけるが開発に使うフレームワークの研究などを行って技術者の育成に投資を行うこともできる(これは最近少しやった)。金銭面での折り合いさえ付けば、まったく何も問題ないだろう?

実際には持ち帰り仕事のためには目玉となるような技術的アドバンテージなどが必要で、上に書いたように単純に利益 2 倍でボロ儲けみたいな事にはならないが(向こうも多少はその辺を計算するので)、普通の客先常駐よりも遥かに利益は産みやすいはずだ。

ここでの問題が一次請けなどとの意思疎通で、そもそも上流工程がアレだと開発の現場が大混乱に陥るので、上流工程のできる人間を一次請けのところに送り込む必要も出てくる。なので、自社持ち帰りをきちんとやろうとするのは一般の中小の下請け企業には結構敷居が高いだろうな。もっともそれができれば多重下請けスパイラルからの脱出につながるので挑戦する意義はある。

というわけでうちの会社では自社持ち帰りでの仕事を増やそうとしてるんだが、そのための切り札が俺というのは一体何を考えてんだか。何か最近業務経歴書をアップデートさせられたんだが、マジで俺を餌に営業するようだ。まさか俺一人で競合他社とのコンペに勝てるとまでは思っていないだろうが、それにしてもなあ。

(23:27)

ギターの練習してたらちょっと良さげなリフができたんで、それをサンプルにして付け焼き刃でも音楽理論とかその辺の知識が面白く使えるということを書いてみる。

ファイルの内訳は

  • demo1.ogg:リフ
  • demo2.ogg:試しに弾いてみたフレーズ
  • demo3.ogg:ちょっとだけひねったフレーズ

何も考えずに Audacity で録音してミックスしたんで、まあ細かいことは気にしないように。大体、縦のラインが揃ってないなんていつものことだろ!(ツッコミ厳禁)

じゃあまずは最初にリフのタブ譜から。

e|-----------------------------
B|-----------------------------
G|---8----9----11-----9-----98-
D|---9----9-----9-----9-----99-
A|0-0--0-0--0-0---0-0---0-0---0
E|-----------------------------

5 弦開放を刻みつつ、 B のメジャー3rd、 E のパワーコード(転回)、 B のパワーコードを弾くというただそれだけのリフだ。どっかで聴いたことがある気がするけどそんなことはどうでもいい。とりあえずこれに何かしらフレーズを付けてみたくなったわけだが、こういうときに一番手っ取り早いのは多分コード進行から作る方法だろう(普通はメロディからコードを作るんだろうけどさ)。

しばしコード一覧表とにらめっこした結果、とりあえず「B/A -> Bsus4/A」の繰り返しということにした。というか、そうでもしないと 5 弦開放の説明が付かん。まあメジャーコードと sus4 の繰り返しって割と普通だからこれでよしとしよう。あとは曲のキーだが、 B メジャーでいいだろう、多分。

というわけで何も考えずに B メジャーのフレーズを被せたのが demo2.ogg だ。本当に適当に弾いたんでえらいことありがちなフレーズになっちまった。とりあえずタブ譜はこんな感じ(ってかタブ譜打ち込むのめんどい)。音符の長さは適当なので、脳内保管してな。

e|---------------------14-12-11----------14-12-11---
B|11~~~12~~13-12-11-12----------12~~11~~----------12
G|--------------------------------------------------
D|--------------------------------------------------
A|--------------------------------------------------
E|--------------------------------------------------

別にこれで終わりでも良かったんだけど、何となく気持ちが悪い。何が気持ち悪いかって、ベースになってる A 音が B メジャーには出てこないのが気持ち悪い。こんなことならフレット 2 つずらして A メジャーでリフを弾けば良かった。そんなこといっても仕方ないんで、「ギター・スケール・パーフェクト・ブック」から以下の条件に合うスケールを探した。

  • メジャー 3rd を持つ
  • 第 7 音と第 1 音の間が 1 音

これに該当するのは……ミクソリディアンスケールだ。超長旋法の異名を持つスケールで、こいつはアイオニアン(メジャー)と響きがそこそこ近いのでうってつけだ。具体的には、アイオニアンの第 7 音を半音下げた形になり、アイオニアンの第 5 音から並べたスケールだ。

という発想で弾いたのが demo3.ogg ね。明らかにピッキングし損なってる部分があるけど、これまたいつものことなので気にしないように。何か録り直すのがかったるかったんで。タブ譜は以下のとおり。

e|---------------------------------------------------------11-14-12-11---
B|-----10-9~~12-10-9-12-10-9-12-10-9-12------10-9-10-12----------------12
G|9-11----------------------------------9-11-----------------------------
D|-----------------------------------------------------------------------
A|-----------------------------------------------------------------------
E|-----------------------------------------------------------------------

無理やり一般的な長調/短調に当てはめると E メジャーになるので、そこを取っ掛かりにしてフレーズを作ってみた。こっちは 5 分ぐらい考えた。フレーズの締めは demo2 とあえて同じにしてみたが、今思えばそうする必要性はなかったかも。この時点でコード進行とかはうっちゃりを喰らってるわけだけど、まあ別にいいんじゃね?

ここまで読んだ人たちは俺があまりにいい加減にコードやら教会旋法を使ってるのに呆れたと思うけど、まあ音楽理論ってのはそんなもんじゃない? 未だに何で完全 4 度及び 5 度が安定した響きなのかとか、基本的な事すら解決してないらしいからな。だからまあ、既存の理論を良いように使ってむしろ理論を拡張していくっていう方向で良くねえか。

ところで理論的なことに拒否感を示す奴らってのは、かなりの割合で「理論の修正・拡張」の視点が欠落してる気がするけどそれってどうなんだ。まともな高等教育を受けていれば、既存の理論をベースに独自の理論体系を作るという発想程度はあって当たり前だと思うんだけどなー。特に音楽理論って「本当は間違いだけどなしくずし的にアリ」って感じで拡張してるわけだろ。だったらいいように使わせてもらおうぜ。

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