Diary?

2008-06-06
Fri

(21:26)

えーと、タイトルしか読んでないんだけど。

俺よりも 13 万近く給料いいじゃねえか。

まあ、俺は一人身な上に男が大金を使うであろう「車」「女」「博打」に縁がないから、不自由してないっちゃしてないんで別にいいんだけどな。

しかし 34 万か……。

(22:09)

企業がフリーソフトウェアを支持して、プロジェクトにコミットしたり基盤技術ととして採用するするのは勿論良い事なんだけど。でも、それって相当大変なんだよな。

俺の最近の仕事はとあるフリーソフトウェアの ERP・アプリケーションフレームワークの調査、評価およびそれを用いての開発なんだけど、ぶっちゃけそれってまだビジネスになってないからな。理想を言えば ERP5 の Nexedi みたいに社員がコミットして、会社がインテグレータになってというものだけど、とてもじゃないけど俺一人じゃそれは出来ないし、そもそも今は安定版をベースに開発手法を探ってる段階で、中身をきちんと理解して本家にコミットなんてところには程遠い (勿論、予定はあるんだが)。第一、それだけの事を出来る技術者の頭数が絶対的に足りてない。

それじゃあ俺の給料はどこから出てるかっていうと、そりゃもう他の社員が外部のプロジェクトで稼いだ金なわけだ。俺も本社に持ち帰る事の出来る仕事をやったりとかはする予定なんだけど、それは結局日銭稼ぎでしかないからな。それで何で今の会社が俺にフリーな ERP なんていう蝶々を追いかけさせているかというと、要するに俺と会社の利害関係が以下のように一致したからだ。

  • 会社側の思惑
    • プロプライエタリな技術ベースだと、社内にノウハウを蓄積しにくい
    • 本社にある程度以上レベルのある技術者をキープしたい
    • 会社のイメージ戦略として、それなりの腕前の技術者がいることをアピールしたい
  • 俺の思惑
    • フリーソフトウェアをより広めたい
    • 会社で蓄積したノウハウを自由に使いたい
    • 自分以外の技術者のレベルの底上げが欲しい

というかだな、ぶっちゃけかなりの部分が売名行為なわけだ。そういうわけで俺は開発した成果をできるだけ短いタームで公開して、それについてのドキュメントを最低限でも揃えて、それを企業ブログに書いて、就職・転職サイトの取材に答えてとやっているわけだ。実際それで今までよりは外部からのアクションも多くなって、より多くの応募者が来てはいるんだが。

そして俺にはこれから新人の教育という仕事が待っているわけだが、第二新卒が相手だったり同業他社からの転職者が相手だったりして、要するに大半が俺よか年上で、そういう人らに試用期間中に一通り研修して、作業を手伝わせて、それであまりにダメっぽかったら採用取り消しの判断をせにゃあならん。つまりフリーソフトウェアをずっといじっているわけにもいかんのだよ。っていうか俺と同程度の技術者ってそこらに転がってないのか?

えーと何が言いたいかというとだな、企業でフリーソフトウェアの開発とか、フリーソフトウェアを用いたプロジェクトがやりたいってのなら、会社と利害が一致してないとまず厳しいんだってこと。あと当たり前だけど、きちんと会社の連中にプレゼンテーション出来ないとダメだからな。本社に戻ってから最初に降ってきた仕事で、俺はマルチメディアデータにフリーなフォーマットを使うことを提案して通したんだけど、そん時は各種フォーマットやライブラリのライセンスと料金形態を一通り調べて、なぜフリーなデータフォーマットとライブラリを使うと自社及び顧客の利益になるのかを説明して、それで実際に自分でそれを使ったプログラムを書いてシステムに組み込めることを証明したりしたからな。というか営利事業でフリーソフトウェアを採用するんだから、それぐらい出来ないと全くお話にならないんだけどな。

例えば Web アプリケーションフレームワークだと、 Struts あるいはそれベースの奴なら採用率は高いだろうけど、それ以外の選択肢ってそんなに無いだろ。いや、自分からそういうのを提案できる立場の会社なら出来るだろうけど、二次請け中心のソフトウェアハウスだとそんなの出来るはずないんだって。実際俺が先に書いた奴なんて、一次請けからこっちに完全スルーだったからねじ込めたわけだしな。

何かもうグダグダ書きすぎなわけだけど、今後の俺の課題はとにかくスケジュールされてる社内向のシステムを作って、それの開発中に得たノウハウを公開して、人 (要するに応募者) なり金 (要は仕事) なりを集めにゃならん。いや、金はともかく人は集めてもしかたがないとか思われそうだけど、二次請けの仕事ってのはつまり、頭数を揃えないと利益にならんわけだ。俺が他の現場に出されない理由は、技術力を最大限に評価に組み入れてもせいぜい一月あたり 60 万かそこらで、俺一人じゃ会社全体の稼ぎのうちの一部分でしかなく (俺は入社初年度から利益出してたから、これでも条件はいい方)、だったら本社で使った方がいいだろって判断なんだよな。あとはまあ、俺が会社の上層部に「次に前と似たような現場に出したら辞める」と脅しをかけているからでもあるんだが。

要するに特に零細のソフトウェアハウスがフリーソフトウェアに目を付けるのは、

  • 客寄せパンダにして仕事をもらう
  • 同じ発想で応募者を釣る
  • 社員の技術力の底上げで単価アップを狙う

という割と生臭い事情があってのことで、「フリーソフトウェアで社会貢献!」なんて痛い発想のガキはとっとと現実を見てくれって事だ。

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